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執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「風邪をひいたら抗生剤!」
そんな風に思っていませんか?
一般的に抗生剤と呼ばれる抗菌薬は、実は風邪などのウイルスには効き目がないことをご存知でしょうか。
この抗菌薬の不適切な使用を背景に世界中で「薬剤耐性(AMR)」が増加しており、国際社会における大きな課題となっています。
「薬剤耐性」の拡大を防ぐためにも、まずは私たちが正しい知識を得ることが大切です。
「ウイルス」と「細菌」の違いを知っていますか?
今回注目する「薬剤耐性(AMR)」は、抗菌薬が効きにくくなる、あるいは効かなくなる、といった現象です。
「抗菌薬」は一般的に「抗生剤」や「抗生物質」とも呼ばれ、名前が示す通り「細菌」に対して効果を発揮する薬です。
ところで、皆さんは病院を受診するきっかけとなる風邪やインフルエンザ、肺炎などのような病気は、ウイルスと細菌のどちらが原因になっているか知っていますか?
そもそも細菌とは、細胞が一つしかないとても小さな生き物で、あらゆるところに存在しています。
すべてが有害という訳ではなく、納豆菌や腸内環境を整える細菌などのように、ヒトの生活に役立つ細菌もあります。
細菌の大きな特徴は、栄養になるものを摂取すれば自力で増殖できること。
細菌は病気の引き金にもなり、大腸菌の一種による「O157」や、肺炎球菌による肺炎などがよく知られています。
一方、ウイルスは細菌の50分の1程度の大きさで、自力で増えることはできない微生物です。
インフルエンザウイルスやノロウイルスなどが有名ですが、人の細胞に侵入(感染)して増殖し、さまざまな病気を引き起こします。
ほとんどの風邪も、ウイルスが鼻や喉に侵入(感染)し炎症を起こすことによって発症します。
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