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リステリア菌の特徴と感染源
リステリア菌は自然界に広く分布するものの、他の食中毒菌と同じく熱に弱いという性質により、65度以上で数分加熱すると死滅します。
一方、高い塩分濃度下や低い温度に強いという特徴を持っています。
生息できる温度が0~45度と幅広く、冷蔵庫内でも増殖できますし、一見菌が増えないと思われる塩漬けのような環境下でも、増殖する可能性があります。
こうした特徴から、加熱をせずにそのまま食べるナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなどの加工品、野菜サラダなどが感染源となり、欧米ではいくつもの集団感染が発生しました。
このほか、潜伏期間が幅広く(24時間以内~1カ月以上)、感染源の特定が難しい点もこの菌の特徴です。
なぜ妊婦さんは注意が必要なの?
リステリア菌に感染しても、健常者であれば無症状か倦怠感、発熱の症状が軽く出る程度で済むケースがほとんどです。
しかし、免疫力の低い妊婦さんや高齢者、乳児、一部の慢性疾患(糖尿病、肝硬変など)がある人や持病などで免疫機能が低下している人(がん、エイズなど)は、発症・重症化しやすいことがわかっています。
発症すると高熱や倦怠感、おう吐や頭痛など、インフルエンザに似た症状が現れます。
悪化すると髄膜炎や細菌感染の反応が全身に出る敗血症などを引き起こします。
さらに、妊婦さんの場合はお腹の赤ちゃんにまで感染が広がる可能性があります。
胎児が感染すると死産や流産の原因となり、仮に出産できたとしても髄膜脳炎を起こして、すぐに亡くなってしまうことも考えられます。
胎児の致死率は20~30%にものぼるといわれています。
このような事情から、妊婦さんはナチュラルチーズなどの乳製品、生ハムやスモークサーモンなどの加熱処理されていない加工品は控えたほうが良いといわれています。
厚生労働省も啓発を行っているほか、母子健康手帳でも注意喚起されていますから、ぜひ一度確認してみてください。
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