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脊髄損傷による下半身不随 の危険性について考えてみましょう。
プロスノーボーダーの岡本圭司さん(33歳)は、今年2月長野県内で写真撮影をしているとき、崖から転落。ヘリコプターで病院へ搬送され、緊急手術を受けました。その傷は、腰椎など十数か所を骨折、下半身が麻痺し、今リハビリを行っています。
下半身不随といっても一様ではありません。事故は、1件1件違います。
そのため、その事故でその人のどこに損傷が出たのかによって症状が違ってきますが、下半身麻痺が起きる場合を考えると、脊椎骨折、脊髄損傷、腰部骨折などが考えられます。
岡本さんはまだ下半身麻痺状態ですが、ご家族など周囲に支えられて、前向きに怪我と取り組んでいます。詳しいケースをみていきましょう。
脊髄損傷による下半身不随
下半身不随の起こる脊髄損傷は、度合いにより「完全型」と「不完全型」にわかれます。
「完全型」は、脊髄が離断されて神経伝達機能が絶たれてしまった状態です。脳からの運動命令は届かず、運動機能が失われます。
また、感覚知覚機能も失われてしまい、「動かない、感じない」麻痺状態となります。しかし、全く何も感じないのではなく、疼痛が残ることがあります。また、足が伸びているのに曲がっているように感じられたりする異常知覚が起こることがあります。
慢性期に入ると、本人の意思とは関係なく、突然こわばったり、けいれんを起こすことがあります。感覚や運動だけでなく自律神経も損なわれるので、麻痺の部分では、代謝が不活発になり外傷は治りにくくなります。また、汗をかいたり、鳥肌を立てるなどの血管を収縮したり拡張したりする調節機能が働かないため、体温調節が困難となります。
「不完全型」とは、脊髄の一部が損傷や圧迫を受けていますが、一部機能が残存するものを言います。
脊髄損傷には、ほとんどの人が排尿障害を伴います。大脳から指令がきて、排尿したい、とわかるのですが、脊髄を損傷すると膀胱に尿をためることも出すこともできなくなくなることが普通です。
ためることができないと尿失禁がおこりますが、それ以上に危険なのは、膀胱の異常な収縮によって、膀胱に高い圧がかかり、膀胱が変形し、腎臓に負担がかかってしまいます。放置しておくと腎機能障害をきたし、透析になってしまうこともあるのです。多くの場合、自己導尿という自分で尿道から膀胱内に管(カテーテル)を挿入し、尿を体外に排泄する方法をとります。
排便の障害もあります。やはり排便を管理する神経が損傷しているために、肛門括約筋が制御できない状態になりますし、怖いのは、逆に排便できずに腸の中に便が押し込まれてしまう事態になることがあります。排便のアクシデントを防止するには、腸にいつ排便するかを教え込み、スケジュールに従って習慣つけます。
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