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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
実際には存在しない音が聞こえたり、自分への悪口や非難、あるいは場合によっては自分に指示をするようなコトバが声として聞こえてくるのが幻聴です。
統合失調症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、アルコールや覚せい剤などへの依存の場合にみられます。
幻聴とはどのようなコトなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
幻聴とは:知覚の障害
目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚器官を通して外界の対象を認知して、自分の体験に「意味づけ」をする心の働きを「知覚:perception」といいます。
そして、知覚の障害を「妄覚(もうかく)」と呼びます。
妄覚には、「錯覚」のように対象がゆがめられて知覚される経験と、そもそも対象がないのに認識してしまう「幻覚」とがあります。
ですから、幻覚は「対象なき知覚」とも言われています。幻聴は「幻覚」のひとつなのです。
見えるはずのないものが見える「幻視」、臭うはずのない匂いがしてしまう「幻嗅」、実際は触れていないのに触れられている感じがする「幻触」など、五感にはそれぞれ幻覚が起こりえます。
「幻聴」とは、実際には存在しない音が聞こえたり、自分への悪口や非難、あるいは場合によっては自分に指示を与えるコトバが声として聞こえてくる知覚障害なのです。
幻聴の原因?:幻聴をひき起こす病気
幻聴が症状として起こる原因として、いくつかの精神疾患が挙げられています。
統合失調症
幻聴は統合失調症の急性期における陽性症状として、診断上重要な「第一級症状」に挙げられています。
悪口や自分の行動を実況中継する声が聞こえるといったケースが多いようです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
過去に大きなストレスを受けて致命的ともいえる心の傷(トラウマ)を受け、慢性化し、何度も蘇ってきて本人を苦しめるのがPTSDです。
ここでも、過去の悲痛な経験が「幻聴」としてきこえることがあります。
アルコール、薬物
アルコール、大麻、覚せい剤、シンナーなど依存性の薬物による幻聴が、使用中や使用後に起こります。
ちなみに、覚せい剤精神病による幻聴も主症状なので、統合失調症との鑑別が診断には必要になります。
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