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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「失恋しちゃって、胸が苦しい…」
こうした言い回しは、一般的にはつらい気持ちを表すための比喩的表現として用いられます。
ところが、失恋などのストレスが原因で、本当に胸の痛みが生じて苦しくなる、「ブロークンハート症候群」という病気があるのです。
今回は、このブロークンハート症候群についてご説明いたしましょう。
原因は強いストレス
過度な身体的・精神的ストレスによって、心臓の筋肉である心筋に異常をきたすことを「ブロークンハート症候群」といいます。
ブロークンハート症候群を発症すると、心筋がうまく収縮できなくなって血液を送り出す機能が低下し、胸の痛みや呼吸困難、血圧の低下などの症状を引き起こします。
ブロークンハート症候群は、専門的には「たこつぼ型心筋症」と呼ばれています。
この名前は、発症時の心臓の形に由来しています。
ブロークンハート症候群になると、心尖部(しんせんぶ;心臓の尖端)がほとんど収縮しなくなり、心臓の先がバルーンのように膨らんだ状態になります。
一方で、心基部(心臓の上方)は強く収縮するため、心臓がたこつぼのような形にみえるからです。
発病の詳しいメカニズムはわかっていませんが、最近では、ストレスによる「カテコールアミン(副腎髄質ホルモンの総称)」の増加に関係しているのではないか、と考えられています。
また、患者層は閉経後の女性が多いことから、閉経後に分泌量が減少する女性ホルモン(とくにエストロゲン)が影響している可能性もあるとして、研究がすすめられています。
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