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執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
日本では「今までにないこと」と言われる程の自然災害が多発しています。
当たり前だった日常生活が一変する出来事が、どこでも誰にでも起こり得る状況なのです。
そのような時でも欠かせないのが食事…皆さん、何らかの対策をしていますか?
非常時だからこそ食べることが重要な役割を担いますので、押さえておきたいポイントを栄養士の視点からご紹介します。
災害時の食事のキホン
災害時の食事は、インフラの寸断などから「食材が手に入らない」「調理環境が整わない」など、普段とは食事環境が大きく変わります。
加えて、身体的・精神的ストレスも増幅しますので、十分な栄養が必要であるにも関わらず、食欲の低下や適切な食事を準備できない状況に陥ることも考えられます。
そのため、災害時を想定した対策が不可欠です。
以下の基本的なポイントを押さえて備えましょう。
災害食は経過時間に合わせて準備
災害時の食環境は、時間の経過により変化します。
大きく3段階に分けて考えます。
【災害直後~3日目】
レトルトのお粥、パンの缶詰、バランス栄養補助食品、ゼリー飲料、野菜ジュース、クラッカー、ビスケット、果物缶 など
災害直後は、避難や怪我の手当など救急対応が最優先になります。
食事に時間をかけられませんし、場所・水・電気・ガス・食材など、調理をする環境も整っていない可能性が高いのです。
ですから、そのままですぐに食べられる・ゴミが少ない・栄養価が高い、といった条件が揃う食べ物が適しています。
避難も視野に入れ、これらは避難時用のリュックに詰めておきましょう。
【4日目~1週間】
主食:レトルトのお粥、パンの缶詰、アルファ米製品(水だけで食べられるご飯)
主菜:魚や肉の缶詰、おでん缶
副菜:レトルトや缶詰の総菜、海苔、野菜ジュース
デザート:果物缶、アーモンド、長期保存用のお菓子 など
数日経過すると、電気などが復旧して自宅での生活が可能になるかもしれません。
疲労や栄養不足による感染症、便秘、持病の悪化などが顕著に現れることが想定されるため、栄養バランスに配慮したいところです。
3日目までの非常食に加えて、主食・主菜・副菜・おやつを、手軽に食べられる・ゴミが少ない・食べ慣れている、という要素を重視して備蓄しておきましょう。
自宅に、家族の人数×5日分ほど常備しておくと安心です。
【1週間~】
主食:無洗米、乾麺、カップ麺
主菜:魚や肉の缶詰
副菜:トマト缶、乾物、海藻、日持ちのよい野菜(じゃがいも、玉ねぎ、人参など)
デザート:果物缶、ナッツ、食べ慣れたお菓子 など
ライフラインが復旧し始める頃と推測します。
救急対応や生活環境も落ち着き、温かいものが食べたい、料理がしたいなど、日常生活の食事に対する欲求も出てくる頃です。
災害レベルにより、食料品の調達などに差は出ますが、メニューの幅が広がる保存食を常備することをおすすめします。
日常利用できる食材ですので「ローリングストック(回転備蓄)」により日々の食生活で活用し、食べ慣れておくとよいでしょう。
水は十分に備蓄を
災害時には水がとても貴重です。
しっかり備蓄しておくのはもちろんのこと、洗う、茹でるなど調理への使用を最小限にとどめる意識も大切です。
1年に一度は備蓄品をチェック
災害用の食品や缶詰などの賞味期限は長いとはいえ、1年に一度はチェックしましょう。
防災の日にチェックするなど、定期点検日を決めておくとよいですね。
特別に準備しておきたい食事
次のような方がいるご家庭では、その方に応じたレトルトや缶詰の食品を準備しておきましょう。
・離乳食期の赤ちゃん
・食物アレルギーのある方
・腎臓疾患など食事管理が必要な持病のある方
・嚥下障害のある高齢者
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