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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
日常的に育児と介護の両方を同時に行う「ダブルケア」。
世界のなかで未曾有の超高齢社会に突入している日本。
加速する少子化に加え、女性の社会進出に伴う晩婚化や高齢出産も増加しています。
そのため、ダブルケアを余儀なくされる人が今後ますます増えると言われています。
ダブルケアラーの声
ダブルケアを経験している人を「ダブルケアラー」と呼んでいます。
まずは経験者の声を聴いてみましょう。
地方都市に住む女性Hさん(35)は、仕事と育児や介護の両立に悩んでいました。
同居していた母親(65)がつい1週間前に脳梗塞で倒れ、右半身にマヒが残ってしまったのです。
加えてHさんは、ひと月前に育児休業を終えたばかり。
長らく不妊治療を行った末、やっと生まれた初めての赤ちゃんでした。
IT企業に勤めているご主人は、直接育児に関わる時間がありません。
そこで当初は、自身は時短勤務で職場に復帰し、母親に育児を手伝ってもらいながら、仕事と育児を両立する予定でした。
しかし、当てにしていた母親が倒れ、母親の世話と子どもの育児を同時にこなさなくてはならなくなったのです。
そう、ダブルケアです。
幸いにも会社は理解を示してくれ、ご主人も会社に事情を話して多忙な部門から異動し、時々手伝ってくれるようになりました。
こうして多少心身の負担は減ったとはいえ、1歳過ぎの子どもと身体と言語に障害のある母親の世話はそう簡単なことではありません。
自分が中心になって動かざるを得ない毎日に、Hさんは「一日中面倒を見続けることがずっと続きます。これからも…。自分がやらなければならないという覚悟はしているものの、ときどき逃げ出したくなってしまうのです」と、その心情を率直に吐露してくれました。
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