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海外旅行中の病気・ケガ のために海外旅行傷害保険には必ず加入する
「米国の医療費は非常に高額です。その中でも、ニューヨーク市マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており、一般の初診料は150ドルから300ドル、専門医を受診すると200ドルから500ドル、入院した場合は室料だけで1日数千ドルの請求を受けます。
例えば、急性虫垂炎で入院し手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)は7万ドル、上腕骨骨折で入院手術(1日入院)は1万5千ドル、貧血による入院(2日入院、保存療法施行)で2万ドル、自然気胸のドレナージ処置(6日入院、手術無し)で8万ドルの請求が実際にされています。治療費は、診察料、施設利用料、血液検査代、画像検査代、薬品代などとそれぞれ別個に請求されるので注意する必要があります。」(外務省ホームページより引用)
まず、意外と知られていませんが、海外で治療を受けた場合、海外療養費制度で、公的医療保険から払戻しを受けることができます。加入している公的医療保険の窓口で、手続きの流れを確認し、書類を準備、携帯して旅行に出かけましょう。
しかし、払い戻しを受ける基準は、海外で支払った治療費ではなく、あくまでも日本での治療費です。仮に急性虫垂炎で治療を受けた場合、日本の健康保険から払い出しを受けられるのは標準額50万円の7割に相当する35万円程度です。
そこで、ぜひ加入しておきたいのが損保会社の海外旅行傷害保険です。この保険は、海外旅行目的で自宅を出発した時から、自宅に戻るまでが補償の対象です。
病気・ケガでの入院や治療費が補償されるほか、現地に駆けつける家族の渡航費用、日本への移送費、身の回り品が盗難にあった場合など幅広く補償することが可能です。
また、24時間日本語電話サービスや日本語の通じる病院でのキャッシュレスサービスなどの附帯サービスもあります。
海外旅行中の病気・ケガ :海外旅行傷害保険の落とし穴
・クレジットカードに加入すると自動的に海外旅行保険が付与されることが多いですが、補償内容が限定的で補償額も十分とは言えません。不足分は別途、海外旅行傷害保険に加入する必要があります。
・一般的には、持病の悪化により旅行中に治療を受けた場合、あるいは死亡したとしても保険金は支払われません。歯科疾病や妊娠関連疾患、他覚症のないむち打ち症や腰痛なども対象となりません。虫歯は出発前に治療しておきましょう。
・24時間日本語電話サービスは下痢や風邪などの緊急性のない病気の場合は役立ちますが、時間が勝負の脳卒中や心筋梗塞の場合はこのサービスを利用するよりも救急車(日本と異なり有料)をすぐ呼ぶようにしましょう。英文のトラベル・カルテがあれば役立ちます。
・キャッシュレスサービスは便利ですが、利用した場合は、保険会社にその都度、治療内容と請求額をご自身で確認することが必要です。実際に行われていない手術費などが医療機関から保険会社に請求されるなど悪用される場合があります。
保険は万一のためのものです。旅行先でも健康管理に十分留意しましょう。
<執筆者プロフィール>
新美昌也(にいみ・まさや)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1986年、中央大学法学部法律学科卒業。2004年独立。得意分野はライフプランニング。
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