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前十字靭帯断裂 :前十字靱帯不全膝とは?
ケガをした直後は膝に力が入りにくいものの腫れなどの目立った症状はありません。時間が経ってから腫れが目立つようになり、1~2週間の間は腫れと痛みのため可動域が制限されます。1か月ほどで炎症が治まり、痛みも落ち着きます。前十字靭帯が切れた状態でも日常生活を送ることは可能です。
前十字靭帯が断裂したまま放置されている状態を「前十字靱帯不全膝」といいます。痛みはなくても、膝は非常に不安定です。これにより、関節の軟骨や半月板が損傷し、ケガの連鎖が起きる危険があります。
前十字靭帯断裂 の手術後も競技復帰は可能
前十字靱帯不全膝は日常生活への支障は少ないものの、スポーツにおけるパフォーマンスは低下し、新たなケガのリスクも高まります。そのため、競技復帰を目指す多くのアスリートはたとえ時間がかかることになっても手術を選択しています。
前十字靱帯の手術は、膝や太ももの腱など、他の部位から腱組織を採取し、新たに靭帯を作り直す「靭帯再建術」という方法で行います。関節の中に入れる「関節鏡」という医療機器は小さな傷口で手術を進めることができます。とくに高いパフォーマンスを求めるアスリートにおいては、手術にともなう正常な組織の損傷を最小限に抑えることが重要だと考えられています。
手術を行った後は可動域が非常に狭くなり、筋力も低下します。リハビリによって、可動域と筋力の回復を目指します。一般的には、日常生活に支障がなくなるまでに10日前後、ジョギングなどの軽い運動ができるようになるまでに1か月半~2か月。競技復帰までは約1年かかるとされています。
このように 前十字靭帯断裂 は競技復帰までにかかる期間が長く、選手に多くの負担を強いるものです。しかし、「復帰が可能である」という点が重要です。多くのアスリートがこの試練を乗り越え、ケガをする前と変わらぬ活躍を見せてくれているからです。宮市選手はケガから1週間も間を置かずに手術を行いました。復帰に向けた強い意志さえ感じられます。今ごろは将来に向けた懸命なリハビリが始まっていることでしょう。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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