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あくびが伝染する条件:共感説
2011年にイタリアのピサ大学で行われた研究では、職場やレストラン、待合室など、日常生活であくびが伝染する現象を1年間観察した結果、延べ480人のデータから、もっともあくびがうつりやすかったのは、家族、友人、知人、見知らぬ人の順番だったとのこと。
つまり、親しい人ほど行動伝染が起こっていると結論づけらたのです。
この調査結果が示すように、行動伝染として「あくびがうつる」のは、相手に関する関心や共感がベースにあってのこと、という「共感説」が原因として有力視されています。
ですから、共感性が乏しい、たとえば、自閉症や統合失調症の患者さんなどの場合、あるいは、他者やその状況に興味がない場合などは、行動伝染が起こりにくいといわれています。
社会的コミュニケーションとしてのあくびの伝染
人間だけでなく、動物にもあくびの行動伝染があるそうです。
ただし、あくび自体は脊椎動物全般に見られるのにたいして、行動伝染するのは、チンパンジー、ヒヒ、犬、オオカミなどといった「群れで生きている」社会性のある動物に限られるとのこと。
つまり、行動伝染は、群れのメンバーであることの確認作業だったり、外敵から群れを守る警戒行動だったりする可能性もあるということでしょう。
この意味で、あくびの伝染は「社会的コミュニケーション」の一パタンともみなすことができるでしょう。
共感性が高いほど社会性もたかまり、行動伝染も起こりやすくなると考えることができます。
ただし、行動伝染が「あくび」や「笑い」なら好ましいですが、「恐怖・パニック」や「いじめ」などが行動伝染するのは避けたいものですね。
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