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認知行動療法の実践:7コラム法の紹介
認知行動療法には、集団に用いる方法や個人に用いる方法など、たくさんの手法があります。
冒頭でお話したとおり、さまざまな精神疾患の治療法ですから、医師の指導のもと、症状に合わせて行われる場合もあります。
また、本やウェブサイト上のツールを使って自分で実践することもできます。
今回は、その中から7コラム法をご紹介します。
7コラム法では、自分が動揺したり、ストレスを感じたりした状況を一つピックアップし、以下7つの質問に答えていきます。
ここでは、先に挙げた「知人に連絡をとったのに返事が返ってこない」という状況を例として、7コラム法を試してみましょう。
(1)状況:どんな状況で動揺したり、ストレスを感じたりしたか
例)知人にメールをしたのに、返事が来ていない
(2)気分:その状況によってどのような気分になったか
例)不安80%、憂うつ50%
(3)自動思考:その状況でどんな考えが瞬間的に浮かんだか
例)自分が嫌われているに違いない
(4)根拠:自動思考を裏付ける事実は何か
例)連絡が来ていない
(5)反証:自動思考と矛盾する事実は何か
例)忙しいと連絡をとることができない、メールを見落とすこともある、もともと返信は遅い方である、知人に嫌われるようなことをしていない
(6)適応的思考:バランスの良い考え方とはどんなものか
例)必ずしも自分のことが嫌いで連絡が来ないわけではない、返事が返ってこない理由は複数考えられる
(7)今の気分:(1)~(6)までを通してどのように気分が変わったか
例)不安30%、憂うつ20%
このように、7コラム法では、一つの状況からどんな自動思考が起こったか、その根拠は何か、ということを分けて考えることで、自分の認知のゆがみを認識し修正していきます。
認知行動療法のメリットとデメリット
認知行動療法のメリットとしては、
・いくつもの種類があり、自分に合った手法を用いることができる
・薬物療法のような副作用がない
・治療効果や再発予防効果の高さが認められている
などが挙げられます。
一方、デメリットは、体調が良くないとかえって認知のゆがみを助長する可能性がある、ということです。
ですから、そのようなときは無理をせずに、主治医に相談をしましょう。
また、認知行動療法は即効性が高いとはいえません。
動作などのクセと同様、考え方のクセも直すのには時間がかかるからです。
ただし、継続することで効果は出てきますから、じっくり取り組んでみてください。
何度も行っているうちに自分の考え方のクセを知り、同じ出来事でも違った認知ができるようになってきます。
【参考】
・福井至、貝谷久宣監修『図解 やさしくわかる認知行動療法』(2016年 ナツメ社)
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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