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ラプンツェル症候群が身体に与える影響
毛髪を食べ続けると、胃液や粘液の作用により、胃の中で食べ物などと結びつき、石のような固まりができることがあります。
これを「毛髪胃石(もうはついせき)」といいます。
毛髪胃石は、できた直後に自覚症状はみられません。
ただし、ある程度の期間を経て毛髪胃石が大きくなると、腹痛や悪心、おう吐、食欲不振、腹部不快感、体重減少などの症状が現れるようになります。
また、腸閉塞や潰瘍、穿孔(せんこう;胃に穴が開くこと)などを合併することもあります。
できてしまった毛髪胃石は、薬での治療は困難で、内視鏡手術や開腹手術が必要です。
ラプンツェル症候群の治療
毛髪胃石や身体疾患を合併した患者さんには、症状にあわせた内科的あるいは外科的な治療が行われます。
ただし、根本的治療には、心理カウンセリングなどの精神的なケアが欠かせません。
これまでの症例には、発症後、本人と両親に対して心理カウンセリングを行うとともに、発症のきっかけであるいじめ問題を解消したことで症状が見られなくなった、という報告もあります。
「自分の髪を食べてしまう」という行為は、とても奇妙に感じられるかもしれませんけれど、それは本人が発するSOSのサインなのです。
ラプンツェル症候群の人は、10代やそれよりも若い層に多いため、本人に自覚がないケースも多々あります。
皆さんの周囲に、髪を食べてしまう行為を繰り返している人がいたら、まずはそのSOSサインを察知し、話を聞いてあげてみてください。
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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