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ヘルスリテラシーと仕事の関係
冒頭で触れた日本医療政策機構の調査は、18~49歳のフルタイムで働く女性2000名を対象に実施されました。
本調査では、「女性の健康情報の選択と実践(9項目)」「月経セルフケア(5項目)」「女性の体に関する知識(5項目)」「パートナーとの性相談(2項目)」という4つの因子(合計21項目)と、「知識に加えて知識を活用した行動に関する項目」によってヘルスリテラシーの高さを割り出しています。
そして、これらと仕事のパフォーマンス、妊娠や不妊治療、女性特有の症状があった時の対処などとの関連を調べています。
そのなかで、仕事のパフォーマンスとの関連について、「PMS(月経前症候群)や月経随伴症状(月経に伴うさまざまな身体的・精神的症状)によって、元気な状態のときと比較して仕事のパフォーマンスが半分以下になる」と答えている女性が約半数にのぼることがわかりました。
また、「更年期症状や更年期障害によって、元気な状態のときと比較して仕事のパフォーマンスが半分以下になる」と答えている女性もおよそ半数いることが明らかになりました。
いずれも、女性特有の不調により仕事のパフォーマンスが落ちる人は決して少なくないことを表しています。
しかしながら、これをヘルスリテラシーの高さ別に分析してみると、ヘルスリテラシーが高い人のほうがPMSや月経随伴症状、更年期症状や更年期障害などによるパフォーマンスの低下が起こりにくいこともわかったのです。
とりわけ「女性の体に関する知識」という因子との関連性の高さから、同調査では仕事のパフォーマンスへの影響という視点において「特に女性の体に関する知識を身につけることが重要である」と結論づけています。
なぜヘルスリテラシーは重要?
今回の調査では、ヘルスリテラシーの高い人のほうが、PMSや更年期症状や更年期障害のときに受診や服薬などで対処行動をする傾向にあること、また、定期的に婦人科や産婦人科を受診していることも明らかになりました。
つまり、何らかの不調があったときに、ヘルスリテラシーの高い人ほど早い段階で健康な生活を維持するための行動を起こしやすいと考察できます。
そうした行動により、日常生活や仕事に生じるマイナスな影響の抑制につながっているのかもしれません。
女性特有の症状や病気は、周囲の人に相談がしにくく、我慢したりうやむやにしたりすることが多いと思います。
あるいは、インターネットなどで情報を検索し、正しい情報なのか確証が持てないまま、必要以上に楽観視して放置するか、逆に恐怖心をあおられて病院などの受診をためらうかもしれません。
こうして事実と向き合わずにいると、日常生活や仕事に支障を来たし、ひいては重大な病気や不妊の兆候を見過ごすことになり兼ねないのです。
実際に本調査でも、ヘルスリテラシーの低い人のほうが職務満足感や生活満足感、QOL(Quality Of Life;生活の質)が低いということが明らかになっています。
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