(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
現在日本は、誰も経験したことがない超高齢社会に突入しています。
誰だって年はとるものです。
ほとんどの人は最期まで健康で過ごしたいという希望を持っているでしょう。
しかしながら、今のところ、女性の平均寿命と健康寿命の間には約13年の差(※1)があります。
つまり、13年もの間、寝たきりや介護を要する人が大勢いる…というのが現実なのです。
健康寿命を延ばすためには、若いうちから運動習慣をつけ寝たきりにならない体をつくっておく必要があります。
今回は、健康寿命と深く関わる、ロコモティブシンドロームについて解説します。
ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)の概念
ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称:ロコモ)とは、運動器の障害によって要介護のリスクが高くなる状態のことをいいます。
具体的には、関節や筋肉、軟骨、椎間板などの運動器のどれか、あるいは複数に障害が起こり、立つ、歩くといった機能が低下してしまうことです。
進行すると日常生活にも支障を来たし、要介護や寝たきりになるリスクが高まります。
ロコモは、2007年に日本整形外科学会が提唱した新概念で、
「人間は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であることを日々意識してほしい」
というメッセージが込められているそうです。
厚生労働省調査結果によると、2016年の日本人の平均寿命は、女性87.14歳、男性は80.98歳です(※2)。
この年齢まで人間が運動器を使い続ける時代は、過去にはありませんでした。
いわば、未知の世界に突入しているのです。
日本整形外科学会は、超高齢化社会の日本の未来を見据え、運動器を長持ちさせる対策を早急に打って健康寿命を延ばす必要がある、と考えました。
そこで、誕生したのが「ロコモティブシンドローム」という新しい概念です。
ロコモティブは「運動の」に加え「機関車」という意味もあります。
年をとることに否定的なニュアンスを持ち込まないことが大事…という考えから、この言葉が選ばれたといいます。
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