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人間の体温と視床下部
平常時の体温である「平熱」は人種などによって異なりますが、日本人の平熱は36.8度前後と言われています。通常、外気温の変化にかかわらず体温変化はほぼ1度以内に収まります。これは、私たちの身体が備える「恒常性」という機能によるもので、人間はエネルギーの75%以上を体温維持に使っているとも言われます。例えば、外に出て寒いと感じたとすると、その情報は神経を通って脳の視床下部に伝えられます。すると視床下部からは全身に命令が出され、皮膚の血管が細くなって皮膚から逃げる熱が少なくなります。逆に暑いときは、汗をかいて熱を逃し、体温を下げます。視床下部は自律神経の中枢であり、体温調節反応の司令塔なのです。
摂氏42度=生命を脅かす体温
当然ながら、体温調節には限界があります。人間の場合、体温が約32度より下がる、または約42度より上がると生命維持が困難になると言われています。この温度を超えてしまうと、心臓の動きが阻害され、生命が脅かされるのです。私たちの身体には体温を保ちやすい外気温を「快適だ」と感じるセンサーが備わっています。その気温が18〜24度程度で、精神的にも肉体的にもストレスを感じない気温と言えます。それより気温が上がった場合、次のような変化が起こります。
気温が30度の場合
30度は一般的に「暑い」と感じる気温ですが、まだ外気のほうが体温より低いので、安静にしていれば、正常な代謝によって体温維持が可能です。もちろん、運動をしたり直射日光に当たったりするのは危険です。
気温が36度の場合
体感的にも非常に暑いと感じる気温です。気温が体温に近くなることで、体温を下げようとしても困難な状態になります。身体は無理矢理にでも大量の汗を出し、強制的に体温を下げようとします。このまま放っておくと脱水症状を引き起こし、熱中症になります。
気温が38〜40度の場合
身体は発汗によって体温を下げようとしますが、38度になると次第に追いつかなくなります。このため、体中の臓器が体温の冷却を行おうとします。つまり、臓器への血流量が減り、働きが低下するのです。さらに、39度になると汗は機能しなくなり、汗をかかなくなります。40度では体温の異常な上昇によって脳がダメージを受け、体温調節反応が壊れてしまいます。このことから、気温が40〜50度になっているインドが危険な状況であることがわかります。じっとしているだけでも命に危険が及ぶ状態なのです。
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