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30度以下でも起こる 高温障害
ただし、高温障害(熱中症)は、より低い気温でも湿度が高ければ起こり得ます。また、乳幼児、高齢者、高血圧や糖尿病、心疾患、貧血、甲状腺疾患などがある人も、熱中症が発生しやすくなります。具体的には、気温が25度以上/湿度60%以上の状態で起こりやすくなります。
熱虚脱・熱けいれんの症状
頭重感、頭痛、吐き気、倦怠感、脱力感などから始まり、進むと脳の血流減少により、めまいや耳鳴り、血圧の低下による顔面蒼白、発汗などが現れます。さらに、意識が喪失することもありますが、体温の上昇は見られません。また、脱水時に塩分を補給せず水分のみを補給すると、身体中の筋肉の痛みやけいれんが起こることがあります。
熱射病の症状
熱の放散がうまくいかず、体内の蓄熱量が増加して体温が上昇します。この状態を「熱疲労」と言います。これを放置すると体温はさらに上昇し、体温調節中枢の破たんをきたし、熱射病に移行します。熱射病になると、体温が41度以上になり、危険な状態になります。進行すると、皮膚の乾燥・紅潮やけいれんや意識障害、乏尿・無尿など見られます。
高温障害 の処置
軽症の熱虚脱や熱けいれんでは、涼しい場所で安静をとり、スポーツドリンクや食塩水(水500mlに5gの食塩)を飲用します。内科を受診して、治療を受けてください。予後は良好です。熱射病(日射病)になると、入院治療が必要です。輸液療法を行って迅速に体温を降下させます。意識障害を起こしている場合、特に昏睡が4時間以上続いて回復しない場合や多臓器不全などを合併しているケースでは死亡することもあります。また、重症の場合は回復しても後遺症が残ることがあります。
執筆:南部 洋子(看護師)
監修:岡本 良平(東京医科歯科大学名誉教授)
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