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対策や予防するためのポイント
腰のヘルニアの対策についてみていきます。予防法としても、また再発の防止のためにもおさえておきたいことです。
普段の生活のなかでも気をつけておきたいポイントは以下の3つです。
・姿勢を良くする
・重たい物をもつときの姿勢に注意する
・適度な運動を心がけて筋力をつける
姿勢が悪いと腰にかかる負担が大きくなります。
人間の体重の約60%は上半身が占めます。このうち、さらに30%が椎間板にかかります。体重60kgの人であれば、約11kgの重さが椎間板にかかることになるのです。
運動すればさらに大きな負荷がかかることになります。
真っ直ぐに立った姿勢のとき、背中を曲げると腰にかかる負担は1.5倍大きくなり、座ると約1.8倍大きくなります。姿勢が悪いと腰にかかる負担は当然大きくなってしまいます。
猫背のような姿勢不良は、腰にとっても負担の重い状態です。普段から正しい姿勢を心がけることが大切です。
理想的な姿勢をみるときのポイントは、からだを横からみたとき、以下の部位が一直線のライン状に並ぶことです。
・耳
・肩(肩峰:けんぽう)
肩を触りながら腕を真横にあげたときに凹みを感じるところ。
・骨盤(大転子:だいてんし)
骨盤と太もももつなぎ目の部分で、横から触ると出っ張りを感じるところ。
・膝(膝のお皿の後ろ)
・外くるぶし
重たいものを持ち上げるとき、運ぶときにも注意をしましょう。
重すぎるものを無理に持たないようにすることも大切なのですが、持ち上げるときの姿勢にも注意が必要です。
中腰の姿勢で無理に持ち上げようとすると腰に大きな負担がかかります。中腰の姿勢で荷物を持つと、腰にかかる負荷は立っているときの2倍以上になります。そして荷物の重さによってはさらに大きくなります。
一度しゃがんだ状態から持ち上げるようにすると、腰にかかる負担を軽くすることができます。
適度な運動やストレッチは腰のまわりの筋肉の血流をよくする、腰の骨を支える筋力をアップさせることができ、ヘルニアの予防や再発防止の対策としても有効です。
ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を無理のない範囲で取り組むようにします。時間がなければ、通勤中はできるだけ階段を登る、最寄りの駅まではできるだけ歩くようにするだけでも運動を習慣にすることができます。
またストレッチも筋肉の血流を改善する効果があります。ヘルニアを患っている人は、腰を曲げたときに痛みが出ることが多いので、体の向きを反対に反らせるようにストレッチします。
仕事でデスクワークを行う人も要注意。
長時間のデスクワークは腰にかかる負担が大きいだけでなく、ずっと同じ姿勢をとることで、筋肉の血流が悪くなる傾向があります。休憩時間やちょっとしたスキマ時間を活用して、ストレッチを取り入れてみましょう。
そして喫煙もひとつの原因とされていることを考えると、禁煙はヘルニアの対策になるとい言えます。愛煙家の方は「これを機に禁煙する」というのも予防策になるといえます。
いかがでしたでしょうか。
ヘルニアという病気の中でも、今回は「腰」にフォーカスしてご紹介してきました。
ヘルニアの予防策としてのセルフケアのポイントは「腰に無理な負担をかけないこと」です。
日頃の姿勢に気をつけて、適度な運動やストレッチを上手に取り入れていきましょう。
【参考文献】
*伊藤 俊一、鶴見 隆正編:腰痛の理学療法 (理学療法MOOK 14) 三輪書店, 2008
*淺井 仁、奈良 勲編:姿勢制御と理学療法の実際 文光堂, 2016
*日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰椎椎間板ヘルニアガイドライン策定委員会 編さん:患者さんのための腰椎椎間板ヘルニアガイドブック―診療ガイドラインに基づいて,南江堂 2008
*Hohlfeld BI, Merritt JL, Onofrio BM, et al.: Incidence of lumbar disc surgery: a
population-based study in Olmsted County, Minnesota, 1950-1979. Spine 15: 31-35,1990
*Hoffman RM, Wheeler KJ, Deyo RA:Surgery for herniated lumbar discs: A literature synthesis. J Gen Intern Med 1993; 8 : 487―496.
*厚生労働省・腰痛対策(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d.pdf 2016/11/16閲覧)
*公益社団法人日本理学療法士協会・腰椎椎間板ヘルニア理学療法診療ガイドライン
(http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/08_hernia.pdf 2016/11/16閲覧)
<執筆者プロフィール>
森 ジュンヤ(もり・じゅんや)
理学療法士国家資格取得。急性期総合病院、回復期リハビリ専門病院、訪問看護ステーションにて臨床経験を経る(現在10年目)。専門分野は保健衛生分野。現在は医療関連記事、動物臨床医学、保健衛生学についての執筆を行う。
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