(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
足湯の注意点:レジオネラ症
ここまでお話してきたように、足湯にはさまざまな効果が期待できますが、注意したい点もります。
それは、「レジオネラ症」への感染です。
レジオネラ症は、「レジオネラ属菌」を吸い込むことによって発症する感染症です。レジオネラ症は、「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」という2種類があります。
ポンティアアク熱の場合は、1~2日間の潜伏期間の後、発熱、倦怠感、頭痛といった症状が現れますが、その後自然に治癒していきます。
しかし、レジオネラ肺炎の場合は、2~10日間の潜伏期間の後、倦怠感、頭痛、筋肉痛の症状に加えて、せきや痰、高熱、悪寒などの症状が現れ、適切な治療が行われないと、死に至ることもあります。
レジオネラ属菌は、循環式の浴槽などの人工的な水循環の中で繁殖することがわかっています。
そのため、24時間の循環式風呂などはレジオネラ属菌が発症しやすく、温泉施設などでもきちんとした衛生管理が求められています。ところが、足湯の場合は十分な衛生管理が行き届いておらず、過去に行われた調査では、対象施設の25%でレジオネラ属菌が発見されたことが報告されています。
レジオネラ症は健康な人でも発症しますが、免疫力の低いときに発症する確率が高くなることが分かっています。
足湯に入っただけで即感染するというわけではありませんが、体調が悪いときや抵抗力が落ちているときには、ご自宅での足湯をおすすめします。
またレジオネラ肺炎は、適切な治療を受けることで死のリスクを軽減できる病気です。
そのため、もし公共の足湯施設を利用した数日後に体調が悪化した場合は、病院を受診するようにしましょう。
【参考】
(※)
『細胞性免疫能とストレスホルモン分泌に対する湯田温泉の足湯入浴の影響(第57回日本体力医学会中国・四国地方会)』(http://ci.nii.ac.jp/naid/110004821415/en)
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
スポンサーリンク