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脂肪が増えると起こる病気
「肥満」が原因となって、次のような病気が引き起こされる可能性が指摘されています。
なお、皮下脂肪が増えるか内臓脂肪が増えるかによって、症状は変わってきます。
皮下脂肪
皮下脂肪が首の周りにたっぷりつくと、寝ている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」になります。
また、体重増加によって関節に負担がかかり、「関節痛」や関節が変形する「変形性関節症」も生じやすくなります。
内臓脂肪
内臓脂肪は100種類以上の物質を分泌しています。
脂肪が適量であれば身体によい物質を分泌し、増え過ぎると悪い物質を分泌するようになります。
よい作用として挙げられるのは、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症などの生活習慣病の進行を抑える働きです。
しかし、内臓脂肪が溜まるにつれ、糖尿病を引き起こす「TNF-α」や、血を固めて脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす「PAI-1」といった悪い物質が増えていき、次のような作用をします。
・血圧を上げる
・血糖値を上げる
・中性脂肪を増やし、善玉コレステロールを減らす
・動脈硬化を進行させる
・血管のなかで血を固める
その結果、「高血圧」「脂質異常症」「食後高血糖」「高尿酸血症」に始まり、次いで「糖尿病」「脂肪肝」「動脈硬化」、そして、最終的には「脳梗塞」「心筋梗塞」「腎不全」「網膜症による失明」といった命に関わる病気へとつながっていきます。
最近の研究では、「がん」「認知症」「骨粗鬆症」にも影響していることが分かっています。
「肥満」の中でもとくに内臓脂肪型肥満は万病のもとであり、注意が必要です。
バランスの取れた食生活と適度な運動で「肥満」を改善
食べ過ぎや運動不足によって、摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態が続いていれば、当然「肥満」になります。
しかしながら、以前と比べて食事や運動量は変わっていないのに体重や体脂肪が増えた…と悩んでいる人もいるでしょう。
これは、加齢による基礎代謝の低下が原因だと言えます。
厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査結果の概要」(※)では、男女ともに20代の肥満率が他の年代と比べて低いことが示されています。
年齢が上がるにつれて肥満者の割合は増え、男性は50代、女性は60代で肥満率がピークとなっています。
※厚生労働省『平成28年 国民健康・栄養調査』(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html)
このようなデータを受け、とくに食事内容については、加齢とともに見直す必要があります。
ただし、単に全体の量を減らせばよいという意味ではありません。
バランスを無視して量を減らすと、筋肉のもととなるたんぱく質や、代謝を促進する栄養素まで不足してしまいます。
その結果、加齢の影響以上に、基礎代謝量が落ちてしまいます。
低カロリーでもたんぱく質やミネラル豊富な食材を選んで摂取し、バランスのよい食事を心がけて肥満を予防していきましょう。
また、肥満の改善は、食事制限だけのダイエットでは困難です。
体脂肪1kgの消費に必要なエネルギーはおよそ7000kcalです。
ですから、適度な食事制限と運動によるエネルギー消費を、併せて行うことが大切になります。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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