若い人も無縁ではない… 近年増えている『若年性脳梗塞』

Mocosuku(もこすく)
  • 若い人も無縁ではない… 近年増えている『若年性脳梗塞』

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

若い人も無縁ではない… 近年増えている『若年性脳梗塞』

公開日時

 
執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
高齢者に多いイメージがある脳梗塞。
 
じつは今、30~50代の比較的若い世代でも脳梗塞を起こすケースが増えている実態をご存知ですか?
 
一般的な脳梗塞とは少々原因が異なる場合も多い「若年性脳梗塞」
 
まだ若いから大丈夫!と思っているあなたも、そのリスクと予防法について知っておきましょう。
 

 

若年性脳梗塞の原因

 
脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血液の流れが途絶えてしまう病気です。
 
脳細胞が壊死し、脳の機能に障害を来たすため、梗塞が起こった部位によってさまざまな症状が現れます。
 
一般的な脳梗塞の背景には、多くの場合「動脈硬化」が絡んでいます。
 
高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満といった危険因子が重なると動脈硬化がすすみ、脳の血管が詰まりやすくなります。
 
とくに高齢になると血管の機能が低下しますので、脳梗塞がもっとも起こりやすいのは60代以降です。
 
 
一方、45歳以下の若い世代に起こる「若年性脳梗塞」には、少し異なる原因も関わっています。
 
関連が指摘されているのは、血液が固まりやすくなる「抗リン脂質抗体症候群」や、脳の動脈が細くなったり詰まったりすることで周囲のこまかい血管が異常に拡張する「もやもや病」などです。
 
まだすべては解明されていませんが、若年性脳梗塞には、生活習慣の乱れが関わる動脈硬化だけではなく、このような病気が背後に隠れているケースがあります。
 
 
その他にも、足などにできた血栓が、成人の約20%の人にあるといわれる心臓の小さな穴(卵円孔)を通って脳に運ばれることで発症する「奇異性脳塞栓症(きいせいのうそくせんしょう)」や脳の血管が裂ける「脳動脈乖離(のうどうみゃくかいり)」、「膠原病(こうげんびょう)」に伴う血管の炎症などとの関連が報告されています。
 
はじめからこのような病気にかかっていることが分かっていれば、脳梗塞が発症しないように生活習慣を改めるなど予防に努められます。
 
しかしながら、若年性脳梗塞は脳梗塞が発症してはじめて、陰に潜んでいた病気に気づくケースが多いのです。
 
ですから、発症したほとんどの人が「自分は若くて健康だと思っていた」といいます。
 
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【生活習慣病】新着記事

若い人も無縁ではない… 近年増えている『若年性脳梗塞』

若い人も無縁ではない… 近年増えている『若年性脳梗塞』

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 高齢者に多いイメージがある脳梗塞。 じつは今、30~50代の比較的若い世代でも脳梗塞を起こすケースが増えている実態をご存知です...

2019/02/05 18:30掲載

若返りホルモン? 「DHEA」について詳しく知りたい!

若返りホルモン? 「DHEA」について詳しく知りたい!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 以前より頭の回転が鈍くなった、最近疲れやすい…という人は「デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)」というホルモンが減ってきているのかもしれ...

2019/01/18 18:30掲載

青魚に含まれる「EPA」 効果的な摂取で血管と血液を健康に!

青魚に含まれる「EPA」 効果的な摂取で血管と血液を健康に!

執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー) 医療監修:株式会社とらうべ 「EPA」(エイコサペンタエン酸)は、食品に含まれる健康のために必要な栄養素として知られるようになっ...

2018/12/09 18:30掲載

脂肪なのに活性化すれば痩せ体質に?  魅惑の「ベージュ脂肪細胞」とは

脂肪なのに活性化すれば痩せ体質に? 魅惑の「ベージュ脂肪細胞」とは

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 「脂肪を燃焼させる」といった類のキャッチフレーズをよく見かけませんか? 美容と健康に敏感な方はグッと惹きつけられるかもしれませ...

2018/07/06 18:30掲載

増え続ける「子どものメタボ」  メタボな大人へを防ぐために。

増え続ける「子どものメタボ」 メタボな大人へを防ぐために。

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 1948年から増加傾向にあった子どもの「体重平均値」はこの数年、横ばい状態になっています。 また、肥満傾向児の出現率も2003年からは...

2018/06/19 18:30掲載

「腹八分目に医者いらず」 健康は毎日の食事から!

「腹八分目に医者いらず」 健康は毎日の食事から!

執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー) 医療監修:株式会社とらうべ 暴飲暴食を諫める(いさ・める)ことわざ「腹八分目に医者いらず」。 お腹いっぱい食べないで腹...

2018/05/15 18:30掲載