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真空低温調理法の原理
真空低温調理法のポイントとなる成分が「たんぱく質」です。
たんぱく質は熱でその構造が変化し、これを「熱変性」と言います。
たとえば、生肉は、焼くと白っぽい色に変わって硬さが増し、徐々に縮まって少し小さくなりますね。
これは、肉に含まれるたんぱく質の熱変性によって起こる現象です。
生肉は保水力がとても高く、水分やうま味成分(いわゆる肉汁)が閉じ込められていますが、加熱するとその保水力が低下して肉汁が出てきます。
65度程度で肉汁の流出が起こり、さらに温度が高くなると蒸発します。
一方、真空低温調理の温度帯は60~100度程度ですから、熱変性が進みすぎることなくジューシーな仕上がりを実現できるのです。
また、真空状態ですので熱が均一に伝わります。
そのため、うま味が流れ出すことなく凝縮され、味付けに加えられるというわけです。
この性質から、肉や魚などたんぱく質が豊富な食材の調理に向いていますが、野菜や果物などにも活用できます。
真空低温調理のデメリット
革新的な調理法の真空低温調理ですが、デメリットも理解しておきましょう。
【衛生面の管理に要注意】
低温で調理しますので、手順を間違えると殺菌が不十分で、食中毒や腐敗が起こりやすくなります。
食中毒菌の適温帯は20~50度、ほとんどの食中毒菌は75度で1分以上加熱しないと死滅しません。
そこで厚生労働省は、安全を保つために食材の中心温度を75度で1分以上、また食肉の製造においては、中心温度を63度で30分加熱することを基準としています。
また、真空状態にする前の食材の取り扱いや、清潔な調理器具を使用するのはもちろんのこと、調理温度や時間もしっかり守る必要があります。
【時間がかかる】
低温で調理をしますので、十分な加熱にはそれなりの時間を要します。
メニューにもよりますが、1時間、5時間、9時間などさまざまです。
ただし、基本的に置いておくだけですから、計画的に進めればデメリットにならないかもしれません。
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