シングルマザー

Mocosuku(もこすく)
  • シングルマザー

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

シングルマザーを取り巻く状況とは?

「 シングルマザー貧困 」について、マスコミでもよく取り上げられるようになりました。
2014年の厚生労働省の発表によると、貧困家庭は「ひとり親世帯の54.6%」(2012年)となっています。
少し古くなりますが、2009年に厚生労働省が発表した「ひとり親世帯の貧困率」では、日本はOECD30か国の中で、唯一50%を超える58.7%と、ワーストを記録しました。

   じつはひとり親家庭の貧困は最近のことではありません。昭和からずっと続いている問題なのです。この状況が改善されないのはなぜでしょう?  

 

「 シングルマザー貧困 」を招く"負のスパイラル"とは

  過去にヤフーのアクセスランキングで1位になった「『プレ・シングルマザー』『アフター・シングルマザー』に何が必要なのか」という記事があります。
著者でフリーランス・ライターのみわよしこさんは、特に若年出産に関して「教育の機会が奪われる」次に「就労も不安定、複数の子供がいる場合は生活保護に頼らざるを得ない」という負のスパイラルを指摘しています。

    そもそも、女性は男性に比べて圧倒的に正規社員率が低いのです。
厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」(平成25年度版)によると、男性正規率が78.9%なのに対し、女性は42.3%。つまり、働く女性の10人中6人は、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員などなのです。
若年出産に限らず、就業経験がない、もしくは離職してからの期間が長いシングルマザーにとって、正規雇用への道のりはかなり厳しくなります。  

  幼い子供がいる場合、「残業ができない」「子供の病気など突発事態があると困る」といった理由で、たとえ資格を持っている人でも企業は採用に及び腰になります。

  

保育が大きなネックになる悲しさ

  仕事が見つかっても、保育所の問題は相変わらず深刻です。厚生労働省の昨年9月の発表によれば、4月1日現在の待機児童は2万1371人。4年連続で減少しているのですが、前年に比べて1370人減っただけなのです。

   低い収入を補うために夜は飲食店でアルバイトするなど、仕事を掛け持ちする人も少なくありません。そうなると無認可の保育所やベビーシッターを頼むことになりますが、インターネットの仲介サイトで預けられた2歳の男の子が遺体で見つかったという痛ましい事件が起きたのは、ほぼ1年前の去年の3月です。

   ベビーシッターには国家資格も法的な規制もないので、業者が責任を持たない仲介サイトでは、どんな人が子供を預かるのかわからないのが実情です。
「貧困が子供の命を奪うことにもなる」と世間を騒がせた事件ですが、具体的な改善策は、まだ見られません。  

 

生活保護にはデメリットも

  夫との離別の場合、「約束した養育費が支払われない」ことが、貧困の大きな原因になります。厚生労働省の調査では、シングルマザーの38%は養育費の取り決めをしていますが、現在受給している人は20%。

   「養育費」という言葉からは小さい子供をイメージしがちですが、義務教育後の教育費は、シングルマザーにとって大きな負担になります。
保育士の資格を持つ50代のシングルマザーが体を壊して働けなくなり、教育費のために生活保護を受けているケースもあります。

   生活保護を受けると医療費や年金、税金などが免除されますが、家賃の上限があるとか、預貯金ができないというデメリットもあるのです。
その結果、子供に思うような教育が受けさせられず、世代を超えて貧困が連鎖するということにもなりかねません。

   

「 シングルマザー貧困 」をなくせ! 自立を助ける新たな取り組み

  母子家庭に対するさまざまな支援(相談、就業支援など)に比べると、父子家庭への支援はまだまだ少ないのが実情です。同じ悩みを抱える仲間を見つけるのも大変です。 NPO法人リトルワンズはシングルのパパ、ママをサポートしてくれるウェブサイトです。   

東洋経済ONLINEに、「シングルマザーの貧困解決 ひとつの道筋」という記事が掲載されました。岩手県のひとり親支援NPO「インクルいわて」の、就業支援への取り組みを紹介したものです。   

これは支援室の「インクルーム」に、それぞれの状況に応じて「出勤」し、パソコンや簿記の勉強をしながら、実務もこなすことで収入が得られるというシステムです。  

  これまでもハローワークや母子家庭等就業・自立支援センターが就業支援を行ってきましたが、技能講習だけではすぐに就職に結びつかないのが実情です。  

「インクルいわて」の取り組みは、研修が仕事としての実績となること、就活にも講師たちが具体的にアドバイスすることなどで、半数は就職が決まり、残りは就活中と、大きな効果を挙げました。  

 

「 シングルマザー貧困 」を支える"ひとり親サポーター"

ひとり親とそれを応援する会員がネットで情報交換をしたり、交流会を行ったりする「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」では、ひとり親サポーター養成講座を開催しています。 職業としての相談員だけでなく、この問題に関心があり、ひとり親を応援したいという人も対象としたものです。    

離別、死別を考えたとき、子供がいればひとり親になる可能性はゼロではありません。親しい友達が、ある日突然、そうなるかもしれません。
ひとり親の貧困は、誰にとっても他人事ではありません。ひとり親でも安心して生きられる社会は、より多くの人が安心して生きられる社会なのです。    

参考:
「プレ・シングルマザー」「アフター・シングルマザー」に何が必要なのか
http://bylines.news.yahoo.co.jp/miwayoshiko/20150312-00043750/
 

厚生労働省「ひとり親家庭の支援について」(平成26年3月)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/shien.pdf
 

NPO法人リトルワンズ
http://www.npolittleones.com/
 

「シングルマザーの貧困解決」ひとつの道筋
http://toyokeizai.net/articles/-/62827
 

しんぐるまざあず・ふぉーらむ
http://www.single-mama.com/

【シングルマザー】

相場はいくら?「 離婚の慰謝料 」はしっかり決めておくべき理由

相場はいくら?「 離婚の慰謝料 」はしっかり決めておくべき理由

ここでは 離婚の慰謝料 についてご紹介します。 「離婚したい……!」 離婚の数が増えれば増えるほど、悩んでいる人も増え、成功する人、しない人の違いがはっきりししてくるのも事実です。では、ライフプランニングの達人・プロ...

2015/05/27 11:17掲載

事前にしっかりとチェック!「 離婚の際の財産 」のポイント

事前にしっかりとチェック!「 離婚の際の財産 」のポイント

ここでは 離婚の際の財産 についてご紹介します。 国内では離婚の約9割が協議離婚。本来決めておくお金のことを決めずに、離婚することでトラブルになったり悔やむことが多いのが協議離婚のケースなんです。 では、なにを決める...

2015/05/25 17:37掲載

正社員になりたいシングルマザー のための制度

正社員になりたいシングルマザー のための制度

「 正社員になりたいシングルマザー 」は今の社会にどれほどいるでしょうか。 シングルマザーの多くは、非正規で収入の低い事務職やサービス業に従事しているので、就労収入はそれほど多くありません。正社員として就業できれば、収...

2015/05/07 15:18掲載

シングルマザーが、 子どもを私立大学に行かせる

シングルマザーが、 子どもを私立大学に行かせる

子どもには希望する教育を受けさせてやりたい。 私立大学進学を希望するのであれば、その夢を叶えてやりたい。 子どもを私立大学に行かせる には…… 家庭の収入には限界もあるし、貯蓄もあまりない。その場合、子ども...

2015/04/22 11:25掲載

スポンサーリンク

家族と暮らし

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...