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プラズマ乳酸菌
2012年に発表された「プラズマ乳酸菌」。
ラクトコッカス・ラクティス(Lactcoccus lactis )(※)に属する乳酸菌で、チーズ製造などに使われています。
キリンホールディングスのフロンティア技術研究所と小岩井乳業(株)との共同研究で発見されました。
正式には「Lactcoccus lactis JCM5805」と呼ばれますが、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化することができる乳酸菌という意味から、一般的な名称として「プラズマ乳酸菌」と名づけられたそうです。
プラズマ乳酸菌(JCM5805株)はpDCを活性化することでサイトカインの産生を誘導してウィルスの感染防御に働くことになります。
具体的には、食品に含まれたプラズマ乳酸菌が小腸でpDCに食べられてpDCが活性化し、ウィルスを攻撃するサイトカイン(インターフェロンαなど)を放出します。
すると、サイトカインは体細胞に抗ウィルス反応をするよう直接に働きかけるとともに、複数の免疫細胞に指令を行って、これらがウィルスを攻撃するといった、総合的なウィルス防御能力の向上が起こるとされています。
(※ラクトコッカス・ラクティスは生乳・チーズ・バターなど発酵食品から検出される乳酸球菌です。酸素の有無にかかわらず生育できる「通性嫌気性」です。原料乳を発酵させる最初の乳酸菌として、昔から広く使用されてきています)
乳酸菌とプラズマ乳酸菌の違い
一般的に乳酸菌と言われる細菌とプラズマ乳酸菌にはどんな違いがあるのでしょうか。
乳酸菌には免疫力を高める働きがあることがわかっています。そのメカニズムは大きく分けて次のふたつです。
腸内環境をととのえる
乳酸菌は乳酸を産生する細菌の総称ですが、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えるよう働くことは有名です。
腸内環境が良くなると栄養素の吸収が良くなり、免疫力の高い健康的な身体が作られます。
NK細胞を活性化する
先にも出てきましたが、外から侵入したウィルスや細菌に対抗NK細胞を活性化する乳酸菌は数種類確認されており、市場では「強さひきだす」「守る力」などと謳われています。
これに対して複数の免疫細胞の司令塔役であるpDCに働きかけるのがプラズマ乳酸菌です。
ほとんどの乳酸菌はpDCに働きかけることが確認できず、市販のヨーグルトにおいても反応はなく、pDCに働きかける乳酸菌をプラズマ乳酸菌と呼んでいるのです。
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