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酸性の環境が苦手なY精子
性染色体にはXとYがあり、女性はXX、男性はXYであるということについては、学校の授業で習った記憶があるのではないでしょうか。卵子と精子から性染色体が1本ずつ選ばれ、XXなら女の子、XYなら男の子になります。女性側の性染色体は例外なくXです。したがって、男性側の精子がXを持っているX精子か、Yを持っているY精子かによって赤ちゃんの性別が決まり、X精子なら女の子、Y精子なら男の子になります。
ところで、膣内は雑菌の侵入を防ぐため強い酸性(pH4.0~4.8)になっています。この環境は特に男の子を授かるために必要なY精子にとって不利な条件といえます。X精子が比較的酸性に強いのに対して、Y精子は酸性に弱いからです。そのかわり、Y精子は数が多く、泳ぐスピードが早く、アルカリ性で活発に動くという特徴があります。子宮頸管や子宮内部はアルカリ性なので、酸性の膣内をクリアすればY精子が受精し、男の子を授かる可能性が高くなります。そうでない場合は女の子を授かる可能性が高くなります。
「 産み分け 」の試み
赤ちゃんの性別がこのようなメカニズムによって決まるのであれば、意図的に男の子を授かる可能性、あるいは女の子を授かる可能性を高くできるのではないか、という発想が自然に生まれてくるでしょう。
基本的な考え方としては、男の子を希望する場合はY精子、女の子を希望する場合はX精子が受精しやすい環境を整える、ということになります。膣内が酸性に傾くときはX精子が、アルカリ性に傾くときはY精子が受精しやすくなります。普段は酸性の膣内ですが、排卵日が近づくとエストロゲンの影響でアルカリ性に傾きます。この傾向を利用し、性交のタイミングによる 産み分け の試みがあります。つまり、男の子を希望する場合は排卵日に合わせ、反対に、女の子を希望する場合は排卵日を避けるようにします。また、膣内の酸性度に影響を与えるゼリー状の薬剤なども用いられます。 産み分け に関心のある方は、 産み分け の指導を行っている医療機関に相談するとよいでしょう。
ただし、産みたい性別を優先する 産み分け は、妊娠可能性を低くするものでもあります。初めての妊娠、年齢が高い、不妊治療を行っている、という人は避けた方が良いとされています。また、性別のコントロールは確実なものではありません。「どうしても女の子(または男の子)でないと嫌だ!」という強すぎる希望は、実現しなかったときの反動も大きくなり、お母さんにとっても、生まれてくる赤ちゃんにとっても好ましくないでしょう。藤本さんも、「男の子もいいけど、どちらかというと女の子」というニュアンスで女の子を希望されていましたね。赤ちゃんは「授かり物」。妊娠、出産は偶然の連続ともいわれます。生まれてくる赤ちゃんの割合はほぼ1:1だそうです。当然でのことですが、どちらの性別の場合も、尊く、喜ばしい出来事であることに違いありません。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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