赤ちゃんの性別はどうやって決まるの? 「 産み分け 」は可能?

Mocosuku(もこすく)
  • 赤ちゃんの性別はどうやって決まるの? 「 産み分け 」は可能?

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

赤ちゃんの性別はどうやって決まるの? 「 産み分け 」は可能?

公開日時

酸性の環境が苦手なY精子

性染色体にはXとYがあり、女性はXX、男性はXYであるということについては、学校の授業で習った記憶があるのではないでしょうか。卵子と精子から性染色体が1本ずつ選ばれ、XXなら女の子、XYなら男の子になります。女性側の性染色体は例外なくXです。したがって、男性側の精子がXを持っているX精子か、Yを持っているY精子かによって赤ちゃんの性別が決まり、X精子なら女の子、Y精子なら男の子になります。

 

ところで、膣内は雑菌の侵入を防ぐため強い酸性(pH4.0~4.8)になっています。この環境は特に男の子を授かるために必要なY精子にとって不利な条件といえます。X精子が比較的酸性に強いのに対して、Y精子は酸性に弱いからです。そのかわり、Y精子は数が多く、泳ぐスピードが早く、アルカリ性で活発に動くという特徴があります。子宮頸管や子宮内部はアルカリ性なので、酸性の膣内をクリアすればY精子が受精し、男の子を授かる可能性が高くなります。そうでない場合は女の子を授かる可能性が高くなります。

 

 

「 産み分け 」の試み

 

赤ちゃんの性別がこのようなメカニズムによって決まるのであれば、意図的に男の子を授かる可能性、あるいは女の子を授かる可能性を高くできるのではないか、という発想が自然に生まれてくるでしょう。

 

基本的な考え方としては、男の子を希望する場合はY精子、女の子を希望する場合はX精子が受精しやすい環境を整える、ということになります。膣内が酸性に傾くときはX精子が、アルカリ性に傾くときはY精子が受精しやすくなります。普段は酸性の膣内ですが、排卵日が近づくとエストロゲンの影響でアルカリ性に傾きます。この傾向を利用し、性交のタイミングによる 産み分け の試みがあります。つまり、男の子を希望する場合は排卵日に合わせ、反対に、女の子を希望する場合は排卵日を避けるようにします。また、膣内の酸性度に影響を与えるゼリー状の薬剤なども用いられます。 産み分け に関心のある方は、 産み分け の指導を行っている医療機関に相談するとよいでしょう。

 

 

ただし、産みたい性別を優先する 産み分け は、妊娠可能性を低くするものでもあります。初めての妊娠、年齢が高い、不妊治療を行っている、という人は避けた方が良いとされています。また、性別のコントロールは確実なものではありません。「どうしても女の子(または男の子)でないと嫌だ!」という強すぎる希望は、実現しなかったときの反動も大きくなり、お母さんにとっても、生まれてくる赤ちゃんにとっても好ましくないでしょう。藤本さんも、「男の子もいいけど、どちらかというと女の子」というニュアンスで女の子を希望されていましたね。赤ちゃんは「授かり物」。妊娠、出産は偶然の連続ともいわれます。生まれてくる赤ちゃんの割合はほぼ1:1だそうです。当然でのことですが、どちらの性別の場合も、尊く、喜ばしい出来事であることに違いありません。

 

執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)

監修:坂本 忍(医学博士)

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【出産(その他)】新着記事

10人に1人とも言われる「産後うつ」は、予備知識も大事

10人に1人とも言われる「産後うつ」は、予備知識も大事

執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 産後のメンタルヘルス不調、いわゆる「産後うつ」は、今や10人に1人は経験するとも言われています。 出産という大仕事を果たした後...

2019/03/13 18:30掲載

妊娠も出産もしていないのに母乳が…  どうして?

妊娠も出産もしていないのに母乳が… どうして?

執筆:青井 梨花(助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 多くの方は「母乳とは赤ちゃんを育てるためにお母さんが生産するもの」と思うでしょう。 ところが、妊娠もしていないし、出産後でもないのに、...

2017/12/25 18:30掲載

赤ちゃんの「産み分け」は本当にできるの?

赤ちゃんの「産み分け」は本当にできるの?

執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 性別の「産み分け」という方法があるということを聞いたことはありませんか。 性別の産み分けはできるのでしょうか。   実際に...

2017/09/30 18:30掲載

よくいわれる女性の「安産型」、それホントなの?

よくいわれる女性の「安産型」、それホントなの?

執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 女性の体型について、腰幅がしっかりしている人のことを「安産型」と表現することがあります。 実際に、お産とヒップサイズには関...

2017/06/03 18:30掲載

初産では、産婦人科をなにを基準に選ぶべき?

初産では、産婦人科をなにを基準に選ぶべき?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 妊娠検査薬で陽性が出たら、考えなくてはいけないのが「どの産婦人科に通院するか」ということです。 大学病院から総合病院、産院、助産院など、...

2017/04/13 18:30掲載

どういう状態? 出産時に帝王切開が必要なとき

どういう状態? 出産時に帝王切開が必要なとき

執筆:Mocosuku編集部 監修:岡本 良平(東京医科歯科大学名誉教授) 帝王切開が必要と判断される状況とはどのような状況なのでしょうか。母体のリスクを回避するために行われることも多い「帝王切開」。どの...

2016/07/25 18:30掲載