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ひじき の食物繊維
体内で消化されずに胃腸を通り抜ける食物繊維は、お通じに良いことが知られています。妊娠中は、ホルモンの影響や胎児が腸を圧迫することで便秘になりやすい時期。食物繊維を摂ることはもとより、その質も重要です。食物繊維には水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維とがあります。例えば、野菜や穀物に多く含まれる食物繊維は不溶性食物繊維です。水分が不足したまま、野菜や穀物の食物繊維ばかり摂っていると、かえって便が硬くなってしまうこともあります。
一方、 ひじき に含まれる食物繊維は水に溶けやすい水溶性食物繊維です。不溶性食物繊維:2に対して、水溶性食物繊維:1のバランスが理想的と考えられています。普段、野菜や穀物はしっかり食べているという人であれば、 ひじき などの海藻類に含まれる水溶性食物繊維を意識的に摂取することで理想的なバランスに近づくでしょう。
食物繊維が豊富なごぼうと小鉢1皿分で比較してみると、ごぼう40gは2.3g、 ひじき 5gは2.2gと、同等の食物繊維を摂ることができます。
ひじき の鉄分
妊娠すると赤ちゃんに酸素や栄養を送るために血液の量が増えます。一方、血液の量の増加に比べ、赤血球はそれほど増えず、また、赤ちゃんに優先的に送られてしまうため妊婦さんには貧血になる人が多いのです。成人女性1日の推奨量は6~6.5gに対し、妊娠中は8.5g(妊娠前期)~21.5g(妊娠中・後期)となっており、その必要量が増えることがよくわかります。貧血になると、疲れやすい、息切れしやすい、めまい・動悸がする、肌の血色が悪い、といった症状が出ます。貧血の予防と改善のために鉄分の摂取は欠かせません。
鉄分が豊富なほうれん草と小鉢1皿分で比較してみると、ほうれん草80gは1.6mg、 ひじき 5gは2.8mg摂ることができます。
このように、 ひじき は栄養価の高い食品といえます。「ヒ素が含まれるので妊婦さんは食べてはいけない」という考え方がありますが、一般的な摂取の範囲で健康上の問題が生じることはないそうです。どの食品にもいえることですが、いずれかの食品に偏るのではなく、さまざまな食品をバランスよく食べることが大切です。その際、 ひじき は有力な選択肢のひとつとなるでしょう。
<参考>
ヒジキ 中のヒ素に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:山本ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー。株式会社とらうべにおいて、企業で働く人の食と健康指導、糖尿病などの疾病を持つ人の食生活指導にあたっている
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