健診結果のメッセージに隠された「糖尿病のシグナル」とは?

Mocosuku(もこすく)
  • 健診結果のメッセージに隠された「糖尿病のシグナル」とは?

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

健診結果のメッセージに隠された「糖尿病のシグナル」とは?

公開日時

自覚症状がないまま糖尿病へ突入

「糖尿病予備軍」とは、血糖値が、正常値より高く、糖尿病と診断される値よりは低い、境目にある状態です。診断されないうちは健康かというとそうではありません。最近の研究では、予備軍でも内臓脂肪型肥満があり、血圧や脂質、血糖値のいずれかが高い「メタボリックシンドローム」の状態では、動脈硬化の進行が早まり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすいと言われています。

 

またこのような状態の人は何ら異常を示す自覚症状がないので、このままの生活を続けてしまい、糖尿病になる可能性が高まります。裏を返せば、予備軍のうちに気付くことが、糖尿病にならないための『最後の砦』とも言えます。

 

具体的に、自分の検診結果から、「糖尿病予備軍」かどうかを知るには次の数値を確認しましょう。

 

空腹時血糖値:110〜126 (mg/dl)未満

 

また、糖尿病に進行する過程では「メタボリックシンドローム」を経由することが多く、糖尿病予備軍とメタボリックシンドロームは重なる部分が大きいことがわかっています。

 

メタボリックシンドロームを判定には以下の数値を確認しましょう。

 

腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上
かつ、次の(1)〜(3)のうち、いずれかひとつでもあてはある。
(1)血圧130/85 (mmHg)以上
(2)中性脂肪150以上またはHDLコレステロール40未満 (mg/dl)
(3)空腹時血糖値100以上 (mg/dl)

 

以上のことから、Aさんがまぎれもなく糖尿病予備軍であることがわかります。

 

予備軍からの脱却を目指すには

糖尿病予備軍の根源は、生活習慣の乱れやそれによる内臓脂肪型肥満で血糖値が上がってしまうことです。Aさんのように、遅い時間の食事、高カロリーな食事、欠食、過度の飲酒、運動不足といった習慣は要注意です。

 

●糖尿病予備軍から抜け出す「コレだけは!」というポイント
・夕食を見直す:もっとも影響が大きいのが夕食です。特に、内臓脂肪のもととなる炭水化物や脂質を減らすことが効果的。

 

・空腹時間を長くしすぎない:空腹時間が長いほど、その後の食事では効率よく糖質が吸収されます。その結果、血糖値が急上昇したり、空腹に耐える為に栄養素を内臓脂肪としてため込む力が働きます。朝食を抜かず、夕食が遅くなる時は夕方に間食をする(その分夕食は軽めに)などの工夫で空腹時間を短くしましょう。

 

・筋力維持:筋肉はエネルギーを消費する最大の器官です。筋肉があれば血糖を消費する効率が高まります。特別に運動の時間を取らなくても、日常の中で階段を使ったり、通勤でひと駅分歩くなど、日常で意識的に筋肉を使うことで筋力を維持することができるでしょう。

 

いかがでしたか? 一年の締めくくりに、あなたもぜひ、もう一度健診結果を引っ張り出して、見直してみませんか?

 
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【糖尿病】新着記事

糖尿病が引き起こす、三大合併症について

糖尿病が引き起こす、三大合併症について

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 糖尿病は、血液中の糖質濃度を示す血糖値が慢性的に高い状態です。 そのため、末梢神経や腎臓、眼の網膜など細い血管がある部位がダメージをこ...

2018/08/28 18:30掲載

妊婦の8人に1人がかかる!?「妊娠糖尿病」とは

妊婦の8人に1人がかかる!?「妊娠糖尿病」とは

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ それまで糖尿病の診断を受けたことのない人でも、妊娠中に「妊娠糖尿病(Gestational Diabetes...

2017/08/20 18:30掲載

糖尿病に前兆はある? 原因や予防法をご紹介

糖尿病に前兆はある? 原因や予防法をご紹介

執筆:桜 イクミ(管理栄養士) 医療監修:株式会社とらうべ 生活習慣病のひとつである糖尿病。 糖尿病には合併症のリスクもあることから、注意したい病気のひとつでもあります。 はたしてどのよう...

2017/01/12 21:30掲載

なにがどれだけ制限される? 「糖尿病の食事」について

なにがどれだけ制限される? 「糖尿病の食事」について

執筆:永吉 峰子(管理栄養士) 生活習慣病の1つ糖尿病。 もしもかかってしまったら、食事制限が必要とお聞きになったこともある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし実は、糖尿病患者向けの食...

2016/12/15 18:30掲載

11月14日のブルーライトアップは「世界糖尿病デー」

11月14日のブルーライトアップは「世界糖尿病デー」

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 11月14日は「世界糖尿病デー」です。 世界で患者数が増加傾向にある糖尿病をもっと知ってもらうための日であり、この日は日本国内でも東京都庁や大阪...

2016/11/14 18:30掲載

女性ならではの、糖尿病の初期症状はある?

女性ならではの、糖尿病の初期症状はある?

執筆:王賀 ましろ(医師、医学博士) 今回は、これまであまり注目されてこなかった女性の「糖尿病」をテーマに、女性ならではの初期症状とその原因について考えてみようと思います。 日本にはどのくらいの糖...

2016/05/10 18:30掲載