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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
喫煙は健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
厚生労働省は直近では2016年8月に、喫煙の健康影響に関する検討会編として「喫煙と健康」と題した580ページにもなる報告書を発表しています。
2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止対策を強化する必要性からも、禁煙の普及啓発がいっそう必要といわれています。
今回はあらためて、「喫煙の健康に対する影響」をおさらいしたいと思います。
喫煙の健康への影響:科学的証拠(エビデンス)から
タバコと健康影響については、現在世界中で系統的な研究がなされています。
日本では国立がん研究センターと健康研究センターが中心になって、このトレンドにしたがって、喫煙と疾患との因果関係を明らかにしました。
強い因果関係を推定するレベル1から、因果関係がなさそうなレベル4までの判定基準が設けられています。
その結果が上記「報告書」に次のように記されています。
「喫煙者本人に関して」
・がんやがんによる生命予後、二次がんの罹患や再発リスクなどは、ほとんどレベル1か2
・循環器疾患(虚血性心疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化関連疾患)でレベル1と2
・呼吸器疾患(COPD、気管支喘息、結核、特発性肺繊維症)でほとんどレベル1か2
・2型糖尿病の発症でレベル1
・歯周病がレベル1、う蝕(うしょく:虫歯)、インプラント失敗、歯の喪失でレベル2、
・閉経後の骨密度低下、大腿骨近位部骨折や関節リューマチでレベル2
・認知症や日常動作との関連はレベル2
・ニコチン依存症はレベル1
「受動喫煙の影響」
・肺がんはレベル1、乳がんや鼻腔・副鼻腔がんはレベル2
・虚血性心疾患や脳卒中はレベル1
・呼吸器への急性影響は、臭気・不快感・鼻の刺激感はレベル1、ぜんそく患者や急性呼吸器症状(咳、痰、喘鳴、呼吸困難など)とぜんそく患者の急性呼吸器機能低下はレベル2
・慢性呼吸器疾患への影響はレベル2
・子宮内胎児発育遅延、出生体重の減少がレベル2
・小児のぜんそくの既往はレベル1、ぜんそくの重症化、ぜんそく発症、小児の肺機能低下、学童期のセキ・タン・喘鳴・息切れ、中耳疾患や虫歯は、それぞれレベル2
・乳幼児突然死症候群がレベル1
・未成年については、喫煙開始年齢が若いこと、全死亡原因、がん死亡、循環器疾患死亡、がん罹患のリスクに関してレベル1
改めて、喫煙者にとっては驚くべき結果ではないでしょうか。
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