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甘党の先祖のおかげで、あなたが生まれた?
その時代、食糧はそれほど豊かではなかったでしょう。大きな獲物がいつも獲れるとは限りませんし、木の実や果物を採集するといっても、限られた時期に、人の手で取れる分しか採集できません。
そうなると、カロリーを摂取できる機会は大変重要です。 甘いものや脂っこいもの は、カロリーが豊富です。そのような食べ物が手に入った時には、この機会を逃さず摂取しておくことが、生存のためには重要だったはずです。
人々の中にはそうした食べ物が好きな人も嫌いな人もいたでしょう。しかし、 甘いものや脂っこいもの が好きな人の方が、そうした食べものが嫌いな人に比べてカロリーを充分に摂取でき、結果として生き残り、子孫を残しやすかったと考えられます。
現在の私たちはそうして生き残り子孫を残しやすかった人の子孫なのだとすると、 甘いものや脂っこいもの を好む傾向を受け継いでいることにも納得がいきます。
お腹がいっぱいなのに、まだ食べたい?
いかがでしょうか。 甘いものや脂っこいもの を好むのはヒトとしてとてもまっとうなことだと思えば、ダイエットに失敗し続ける自分を責めてしまうこともなくなるでしょう。
もちろん、自分を責める必要がないといっても、欲求のままに甘やかしていいというわけではありません。
甘いものや脂っこいもの を見て食べたいと思ったら、そうした心の働きがとても役立っていたはるか昔の祖先に思いをはせて、
「現代に生きる自分は、そこまで必死になってカロリーを摂らなくても大丈夫」
と言い聞かせてみると、ダイエットもあまり苦でなくなるかもしれませんね。
<執筆者プロフィール>
武田美亜(たけだ・みあ)
青山学院女子短期大学現代教養学科准教授。国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ。専門は社会心理学(社会的認知,コミュニケーション)。
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