(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
◆1日に必要な ビタミンD をすべて体内で生成するには
国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは、1日に必要な ビタミンD をすべて体内で合成する場合に必要な日光浴の時間を調べました※。観測地に選ばれたのは札幌、つくば、那覇の3地点です。
紫外線の弱い12月の正午、それぞれの観測地の結果は次のようになりました。
・札幌:76.4分
・つくば:22.4分分
・那覇:7.5分
観測地によってこんなにも違うものかと驚かれるのではないでしょうか。この違いを生んでいるのは、いうまでもなく日差しの強さ(紫外線の量)なのです。
※「体内で必要とする ビタミンD 生成に要する日照時間の推定」(国立環境研究所、2013年8月30日)
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html
◆7月の晴天日の12時で比較すると……
夏になると地域差は極端に小さくなります。
7月の晴天日の12時、それぞれの観測地の結果は次のとおりです。
・札幌:4.6分
・つくば:3.5分
・那覇:2.9分
夏場であれば、もっとも日差しの弱い札幌でさえ、極めて短時間で必要な ビタミンD を合成できることがわかります。なお、前述の研究チームは、シミや皮膚がんなどの危険性を高めるほどの紫外線を浴びるには、 ビタミンD の合成に要する日光浴の約4~6倍の時間がかかると推定しています。
1日に必要な ビタミンD を合成するのに必要な日光浴は、地域にもよりますが、夏場であれば4分前後で十分であることがわかりました。ただし、冬の札幌で76.4分の日光浴を必要とした例からも分かるように、日差しが弱い、あるいは日差しが弱いのと同等の効果を持つほどUVケアが完璧な場合は ビタミンD が不足する可能性もあります。
常識が教えるとおり、夏は紫外線を避ける方向で過ごすのが正解でしょう。ただし、徹底的に避けようとしたり、浴びたときに強く後悔したりするのは行き過ぎかもしれません。「紫外線には良いこともある」と知っていれば、夏をもっと楽しめるのではないでしょうか。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:山本ともよ(管理栄養士)
スポンサーリンク