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なぜ、恥骨結合に炎症が起きるのか
走ったり、ジャンプしたりといったスピードのある動き、力強い動きには、太ももや臀部の大きな筋肉の働きが重要になります。それらの筋肉は骨盤、股関節周辺に位置しています。スポーツにおいて、骨盤、股関節には常に大きな力が加わります。
恥骨結合は動かしたり、力を発揮したりする部位ではありませんが、骨盤の一部として常に衝撃を受け止めています。また、恥骨には歩行を安定させる内転筋が付着しています。内転筋は外転筋とともに、歩行時に片脚姿勢になった際、骨盤や体幹が傾かないように支える役割を担っています。
コンタクトスポーツで他の選手と接触したり、転倒した場合や、長距離走で継続的に負荷がかかった場合に炎症が起きやすくなります。
恥骨の炎症 は、2週間程度の休養が必要
恥骨結合炎になった場合、スポーツを中止して炎症が治まるのを待ちます。特に負担のかかるランニングを避ける必要があります。基本的には保存療法が選択されます。消炎鎮痛剤投与、ステロイドホルモン注射によって炎症を抑え、痛みを和らげる治療を行います。運動療法も有効で、足を外側に開いていく外転可動域訓練で、内転筋のストレッチと外転筋の強化を行います。水中歩行、エアロバイク、軽めのジョギングというように、負担の少ない運動から少しずつ強度を上げていきます。
恥骨の痛みを感じたら、運動を中止することが大切です。痛みが治まったからといって早急に運動を再開すると、再発を繰り返すことにもつながります。慢性化した場合、2~3か月の長期間にわたってスポーツを中止せざるを得なくなることもあります。恥骨に痛みや違和感を感じたら、まずは休養をとりましょう。心配な場合は医療機関を受診してください。
<参考>
世陸 競歩・鈴木雄介が途中棄権…恥骨炎症が影響「自ら判断」(スポニチアネックス)
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2015/08/23/kiji/K20150823010986660.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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