水の事故防止へ!「泳ぎが得意な人」でも溺れてしまう理由

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水の事故防止へ!「泳ぎが得意な人」でも溺れてしまう理由

公開日時

錐体内出血の予防

 
では、錐体内出血を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?また、もし自分が水泳中に気分が悪くなった時はどうしたらいいでしょうか?

 
それには、次のことに気をつけましょう。
 
 
<水泳の前>
 

風邪気味のときは泳ぐことを中止する

風邪を引くと内耳炎や中耳炎を起こしやすく、錐体内出血を起こすリスクが上がります。
 
 

耳鼻咽喉科の疾患のある場合は泳ぐことを中止する

耳鼻咽喉科系の疾患がある人も、風邪気味の時と同じように、錐体内出血を起こしやすい状態となります。
 
 

お酒で酔っている時は泳ぐことを中止する

総じて酩酊時は神経系統が鈍くなるため、耳管から水が入りやすく、急性循環不全を生じやすくなります。
 
 
<水泳中>
 

水泳中の呼吸は口から吸気(吸う)し、鼻から呼気を出す(吐く)

鼻から息を吸うと水も吸い上げてしまい、耳管から鼓室に水が入りやすくなります。
 
 

外耳道に耳栓をするよりも、鼻栓のほうが有効

耳には鼓膜があるため、外耳道からは中耳には水は入りません。むしろ、鼻から吸った水が耳管から鼓室に入るリスクを考えると、鼻栓のほうが有効でしょう。
 
 

水泳中に水を吸ってしまったら

誤って鼻や口から水を吸ってしまい気分が悪くなった場合は、ただちに水泳を中止し、水から出ましょう。

 
 

錐体内出血は直接的な死因にはならない

 
錐体内出血そのものは致命的なものではなく、めまいが起こるだけで、意識がなくなることもありません。
 
ただし、錐体内出血が起こっていることに気がつかずに、そのまま泳ぎ続けようとすると、やがてはうまく呼吸ができなくなり、溺水に至ってしまうのです。
 
なお、このめまいはしばらく続きますが、1~2週間で出血が吸収されるにつれて平衡失調は回復します。

 
冒頭にも述べましたが、夏本番を迎え海やプールに出かける人も多いでしょう。
 
競技、遊びに関係なく、水泳時に錐体内出血を起こす可能性はあります。上記の注意事項を守って、安全に夏のレジャーを楽しんでください。
 
【参考】
(※)上野正彦『ヒトはこんなことで死んでしまうのか』インデックス・コミュニケーションズ、2004.
 
 
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

 

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

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