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コストダウンと「安心」の綱引き?
もっとも、安全な食材、安全な提供プロセスを謳うにはコストの高騰を受け入れなければなりません。
報道では日本マクドナルドの粗利益率は10%程度だと言われています。
この利益率で安全のためのコストアップを価格に反映させないで吸収するのは厳しいと思われます。そうすると割安感という付加価値を守れなくなる…。
今のコアな顧客層は割安感という付加価値に魅力を感じていると考えて、ここを大事にする経営戦略なのかもしれません。
各分野でコストダウンを進めているとも報じられているので、割安感を死守したい戦略が伝わってきます。
日本人の「 不安遺伝子 」を考えていない?
日本人の全般的な国民性を考えると「食の安全」を謳わないデメリットは計り知れません。実は心配事に注目しやすいかどうかに影響する遺伝子があります。
この遺伝子に関連する一連の研究では日本人の3分の2は心配事に注目しやすい型であることが知られています。
2012年の日経BP誌ではこの型は「 不安遺伝子 」と紹介されていますが、日本人は身近なリスクに敏感に反応する人が多いのです。
不安が高い人にとって不安が減ることは喜びとして体験されます。
外食の際に「食の安全を強く謳わない」マクドナルドを選ばないことが「喜び」になって客足が遠のいているのかもしれません。
日本マクドナルドさんにはもっと「日本人」を理解した経営ができる余地が残されていると言えるでしょう。
<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。教育支援センター副所長、心理相談センター所長(15年4月から)。臨床心理士、公益社団法人日本心理学会代議員、キャリアコンサルティング技能士。
今年4月に『入門!産業社会心理学-仕事も人間関係もうまくいく秘訣(北樹出版)』が発売予定。
公式サイトはこちら⇒ http://www.sugys-lab.com/
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