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がんの早期発見 :「ヌクレオソーム」の量を調べる方法
医療機器会社「マイテック」と昭和大学江東豊洲病院が開発した新たな方法は、がんが血中に放出する循環がん細胞や、血液中に現れる遺伝子の後天的変化ではなく、血液中の「ヌクレオソーム」※に着目したものです。
※ヌクレオソーム:DNAを管理する糸巻きのような構造体。6個または8個のヒストンからなる芯にDNAが2回巻き付いたもの。
がんに免疫が働きかける際に血液中に「ヌクレオソーム」が溶け出ると考えられます。これを検出するためには特殊な金属チップを用います。金属チップに血液を付着させ、紫外線などを当てて蛍光顕微鏡で観察すると、がん患者の血液では発光しますが、良性腫瘍の患者では発光しません。この違いは、がん患者の血液に「ヌクレオソーム」が多量に含まれているためと考えられます。簡便なこの手法は早期がんのスクリーニングに活用できる新たな方法として期待されています。
現在のがん治療は内視鏡や腹腔鏡の発展により、体への負担の少ない治療も選択できるようになっています。負担の少ない治療はがんの早期発見が条件となります。血液を用いたがん検査は、超早期のがんを発見し、負担の少ない治療で根治を目指すのに適しています。ただし、まだ研究途中であったり、一部の医療機関でのみ行われていたりと、普及には至っていません。今後を期待された新しい分野といえます。
<参考>
大学プレスセンター(昭和大学)
http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=7977
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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