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診断の結果は?
その年の初出社を控えた正月休みの最終日、いよいよ出社が嫌になって来ました。当然、その日は眠れずに朝を迎えました。会社としての初詣が終わったその足で、掛かりつけ医のところに行きました。
自分自身は、“うつ”とは思いたくないので、前年の末、ある人から、「男の更年期障害じゃないか?」、「自分自身も丁度、55歳の頃にそうだった。」と言われ、色々とネットで調べていたので、 先生に血液検査を申し出ました。「そうじゃないと思うよ。村井さんはこれまでの肉体的・精神的な疲れが一挙に出た軽い“うつ”じゃないかな。とりあえず、血液検査はしておくけど。」と言うことでその日は、更年期障害であることに大きな期待を持って帰りました。
結果が出ましたとの連絡を受けて急ぎ先生を訪ねると、「ホルモンバランスの異常はなかったよ。更年期じゃないね。」「やっぱり“うつ”じゃないかな?今は良い抗うつ剤がある。これを飲むと気分が上向くので、少し出しておくから飲んでみて。」と言われ、ホッとしたのを覚えています。くわえて、「この 抗うつ剤 は、日々の緊張が取れないことで脳が睡眠中も休めずにセロトニンの分泌が不足している時に、これを増やす効果がある。ある程度飲んで溜まらないと効果は出てこないが、2週間もすれば気分が上向くから。」との説明を受けました。
診断直後、秘書的な役割をしてくれていた女性に、「よかったよ。これで治るから。」と電話で伝えたくらい、この 抗うつ剤 でもうすぐ直ると思いました。しかし、伝えた女性は、極めて 抗うつ剤 に詳しく、薬の名前を私から聞いた途端、電話口の声が変わりました。「飲んじゃだめです。どうしても、飲まなくちゃいけないのですか?」「帰ってネットで調べてください。多くの場合、依存症になり抜け出せなくなります。」愕然としました。
その後、一緒に事業を始めたもう一人の経営者とその女性は、私からの委任状を持って掛かりつけの先生を訪ねてくれ、 本当の小生の病状と、「 抗うつ剤 」での治療が本当に大丈夫なのか?を質問して来てくれました。最後は、先生からの、「量も少ないし、今は依存症も少なくなっている。一方、飲まずにこのまま放っておいたら、村井さんは自殺する可能性だってありますよ。責任は取れるのですか?」と言うことで押し切られ、“うつ”を早期に治すために「 抗うつ剤 」を飲むことを許してくれました。
ついに 抗うつ剤 の服用を開始…
しかし、ネットで調べれば調べるほど、いいことが書かれていません。「断抗うつ剤時の自殺率が高い。」とか、「友達が抗うつ剤を減らす段階で自殺した。」とかが、それはたくさん書かれていました。飲もうと思っては、辞める日が続きました。そしてある決断をしました。
1週間、全く仕事から離れて海外のリゾートでのんびりしてみよう。それでも気分が上向かなかったら、「 抗うつ剤 」のお世話になろうと言うことで、2月にグアムに行きました。もちろん、 抗うつ剤 を飲んでしまえば、 抗うつ剤 の効果か休暇の効果かわからなくなるので旅行が終わるまでは飲みませんでした。
ところが、グアムでいくらのんびりしても、一向に気分は上向きません。コバルトブルーの海を見ても感動のかけらも湧いてこないのです。社会人1年目に初めての海外旅行で来た時と違って。さらには異変です。高層階のホテルの部屋のベランダの先から海を臨んでも、少しも怖くないのです。強度の高所恐怖症であったにも関わらず。それくらい、なんか自律神経が麻痺に近いくらい鈍感になっていて、身も心もスドーンと重い感覚が全身を覆っていました。
帰国後、「 抗うつ剤 」を飲み始めることとしました。そしてそれが、うつ症状を更に悪化させていくことになるとは知らずに…
<執筆>
村井哲之
広島大学 政治経済学部 経済学科卒
法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退
事業構想大学院大学 研究員
環境プランナー
リクルート、第二電電(現KDDI)等を経て、
現在、日本初の廃棄のコンシェルジェ
総合商社 ㈱イブロン代表取締役
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