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受験生のうつ : 青年期のうつ症状とは
青年期のうつ病は、2週間の間に落ち込んだ状態(抑うつ状態)やイライラした気分、興味や喜びの喪失といった症状のいずれかが見られ、不眠または過眠、体重低下、気力減退、易疲労性(疲れやすい)、気力減退、無価値観、思考力や集中力の減退、死についての反復思考(すぐ「死にたい」と言い出す)──といった症状のうち、4つ以上が見られる場合に「大うつ病性障害」と診断されます。
また、慢性のうつ病とも言われる「気分変調性障害」の場合は、イライラや抑うつが1日の大半続き、自尊心の低下、悲観、絶望感、興味の喪失、社会的引きこもり、慢性疲労、集中力や記憶力の低下といった症状が複数認められます。
いずれにしても、ひとつひとつは青年期によく見られる症状ですが、これらが複数重なって長期的に続き、日常生活に支障をきたしている場合は、うつ病と診断される可能性が高いと言えるでしょう。
いくら勉強しても成績が伸びない、遅刻や欠席が極端に増える、友人や親との関係がうまくいかないといった現象が起きた場合、本人や周囲は単なるスランプだと思っていても、それがうつ病の症状だとすれば、本人や家族だけで対処するのは極めて困難です。
受験生のうつ : 早期の対処が効果的
うつ病の可能性が疑われる場合は、脳の血流を見る検査で診断できます。ただし、未成年の場合は大人と違って、もしうつ病と診断されても、抗うつ剤など未成年者への投薬は安全性を踏まえると容易にはできません。通常はカウンセリングなどでの対処になりますが、時間がかかるため、受験に間に合わない可能性があります。
薬を使わず、副作用がないうつ病の治療として、脳の機能が正常になるよう誘導していく磁気刺激治療(TMS)があります。簡単に言えば、脳の特定の部位に磁気を当て、血流をよくして機能を活性化させるものです。受験期にあたる年代は脳の発達・形成期であり、TMSが効果が現れるのも早いと言われています。早めに症状を安定させられれば、受験勉強に復帰して遅れを取り戻す際の苦労も少なくなるでしょう。
受験期の長期的なスランプはうつ病だけが原因とは限りませんが、いずれにしても、脳の機能に問題がある場合は適切な治療を受けることで改善する可能性があります。一人で抱え込まず、医師の診察を受けて原因を特定することが大切です。
<取材協力・監修>
●川口佑(医師、新宿ストレスクリニック院長)
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