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膀胱がん 診断
膀胱がんかどうかは、尿検査で尿中のがん細胞を調べます。また、尿道からカメラを挿入する内視鏡検査も有効です。肉眼的に腫瘍の有無を確認でき、生検(組織の一部を切り取って検査すること)もできます。このほか、超音波検査、レントゲン検査なども行います。
膀胱にがんが見つかった場合は、腎盂・尿管にも同様のがんが見つかる場合があります。このため、腎盂・尿管の病変の有無をチェックする排泄性腎盂造影検査を行う必要があります。
膀胱がん 治療
膀胱がんの主な治療法は、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線療法で、下記のような術式があります。
<手術療法>
●経尿道的膀胱腫瘍切除術
膀胱がんの80%は表在性で転移を起こしにくいため、内視鏡で切除できます。ただし、約60%は再発するため再手術が必要となります。手術時間は約1時間で、手術後2〜3日で退院可能です。
●膀胱全摘術
組織を超えて広がる浸潤性のがんは内視鏡では完全に切除できないため、膀胱全摘出術が必要になります。同時に人工膀胱を作る手術も行うことになり、7時間程度を要します。人工膀胱には次の3種類があります。
【回腸導管造設術】
回腸(腸の一部)を15〜20cm切り取り、一方の端を尿管に縫い付け、もう一方の端を脇腹に開けた出口につなぎます。この出口の部分をストーマと呼び、ここに尿を溜める袋を付けておく必要があります。この方法は最もオーソドックスで合併症が少ないことが特徴です。しかし、尿が絶えずストーマから流れ出るため、常時袋を付けていなければならない煩わしさがあります。
【導尿型新膀胱造設術】
回腸導管の欠点をカバーするために近年登場してきた方法です。回腸の一部で代用膀胱を作り、尿を溜められるようにします。ストーマがある点は同じですが、溜まった尿を自分で管を通して排出するため、常に袋を装着している必要がありません。欠点としては、まだ歴史が浅いために長期の実績がないこと、手術に時間がかかることなどが挙げられます。
【自排尿型新人工膀胱造設術】
上記の導尿型新膀胱と同様に回腸を使って代用膀胱を作り、それを尿管につないで本来の尿道口から排尿できるようにする方式です。排尿は腹圧や手による圧力により尿道から行います。尿道を温存できる場合には、第一に考慮する方法です。ただし、膀胱がんは尿道にがんが再発することがあるため、尿道に再発する危険性が高い場合は採用できません。
これらの術式のうちどれを選択するかは、がんの状況や本人の希望、体力などを考慮し、十分検討して決定する必要があります。
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