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乳房再建 人工乳腺(保険適用)
シリコン製の「人工乳腺」(インプラント)を胸の大胸筋という筋肉の裏側に挿入する方法です。2013年に保険適用になりました。それまで多くの人が乳がん手術の際、最小限の切除にとどめる温存手術を希望していました。
しかし、乳房をすべて切除したとしても、その後に形成外科の技術によって形を調えることができ、しかも保険適用ということもあり、乳房再建を前提とした乳房全摘を選択する人も増えているといいます。
この人工乳腺を用いる方法では、まず、乳がん手術の際に大胸筋の裏側に「エキスパンダー」を入れることでスペースを作ります。そして、大胸筋の裏側に十分なスペースができてから、エキスパンダーを人工乳腺に入れかえる手術を行います。
また、条件が合う場合に限られますが、太ももつけ根から採取した皮膚を大胸筋に縫い付け、エキスパンダーではなく最初からインプラントを挿入し、1回で手術を終える方法もあります。
乳房再建 脂肪注入(自費診療)
乳がん手術を終え、後日、お腹や太ももから脂肪を吸引して胸に注入する治療が脂肪注入です。自分の体の組織を用い、また、他の部位に大きな傷を残さないというメリットがあります。
1回に注入できる脂肪の量は限られているので、複数回に分けて注入します。脂肪注入は保険適用外のため、全額を患者が負担する自由診療となっています。
乳がん手術は、術後にどのように乳房再建を行うかまで合わせて考えておく必要があります。
よく指摘されることですが、「温存手術」というと形も保たれるかのようなイメージがあるものの、部分的な切除でも変形したり、術後の放射線治療で硬くなるなど、希望と異なる結果になることがあります。
人工乳腺が保険適用になったのは、術後に形を適切に整えることは女性にとって非常に大切で、治療の一環と受け取るべきものであることが認められたからでもあります。
もちろん、もっとも重要なことは再発を防ぐことです。その上で、乳房再建の方法にも選択肢があることを知り、医師とよく相談して治療方針を決めるのが良いでしょう。
【参考】
『乳がん術後の乳房再建』https://www.omichikai.or.jp/morinomiya_h/breast.htm
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