(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
30代後半ででる更年期のような症状
30代で、月経があるのに更年期のような症状が出る人がいます。動悸、発汗、めまいなどの自律神経失調症状です。この原因として考えられるのは次のような病気であり、更年期症状とは関係ありません。
貧血
血液中の鉄分が不足している状態です。とくに月経過多の人は、立ちくらみやめまい、動悸や息切れが起こります。疲れやすく、頭痛のような症状が出ることも。
パニック障害
突然、激しい動悸や発汗、ふるえ、息苦しさ、めまいといった異常を発し、強い不安感に襲われる病気です。突然なって1時間ほどで治まるのが特徴です。
無排卵周期症
規則的に月経のような出血はあるのに、排卵の伴わない病態をいいます。症状としては月経不順があります。放置すると卵巣機能が低下、無月経になってしまいます。
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンの分泌を行う甲状腺の機能が低下すると、身体がだるく疲れやすかったり、皮膚のかさつき、月経異常などがみられます。
高プロラクチン血症
脳下垂体前葉から乳汁分泌を促しているホルモン・プラクチンが妊娠中と産後の授乳中以外でも大量に分泌される病態です。生理が止まるなどの症状が出ます。
また、30代以降に月経が3か月以上飛ぶときは、一度婦人科を受診しましょう。その他のホルモンに関連する病気であったり、42歳以下で閉経している場合は「早発閉経症」という病気です。
30代後半ででる更年期のような症状 :「前更年期」とは?
先ほども述べたように、30代、40代前半から更年期のような症状はあっても、それは早く更年期がきた、というわけではありません。
よく勘違いされてしまうものに、「前更年期」があります。前とはつきますが、前更年期は閉経から1年〜1年半の時期をさします(平均して49歳から51歳)。
この前更年期では、月経が早くきたり、少量の出血が10〜14日ほどダラダラ続く、などの異常出血がみられることがあります。
しかし、この時期にもっとも多い病気として、「乳がん」、「子宮体がん」、「子宮内膜増殖症(子宮体がんの前癌)」があります。この時期は、女性ホルモンが通常以上に増すので、このような女性ホルモンに関連したがんの発症も多くなるのです。
これらの病気で起こる症状は、前更年期の不正出血と似ていて、出血量が少量または大量で月経が長い、月経が止まりにくいなどがあります。
いずれにしても、異常出血が病的なものかを判断することはとても難しいので、少量であっても10日以上出血が続くときは婦人科へ受診することが大切です。
<取材協力>
バイエル薬品株式会社
<監修者プロフィール>
太田 郁子(おおた・いくこ)
倉敷平成病院婦人科医長、医学博士、日本子宮内膜症啓発会議実行委員
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
スポンサーリンク