(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
痛みの原因とは?
生理痛といっても、生活に支障がある月経困難症の場合には、治療の対象となります。
病気が原因となっている器質性の場合、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症、クラミジア感染症などが隠れている場合があります。これらは適切な治療をしないと不妊症の原因にもなる病気です。
これに対して、機能性の場合には、子宮内膜からプロスタグランジンという痛みを誘発する物質が多く出ることが原因とされています。
女性ホルモンの影響で、生理開始から2~3日目にプロスタグランジンの分泌量はピークとなることが多いのですが、そのとき子宮が過剰に収縮したり、子宮の血流が滞ったりすることで腰や下腹部に痛みが発生します。
また、全身にプロスタグランジンがめぐることで、頭痛や倦怠感、吐き気などが発生します。これらの治療には、プロスタグランジンの合成を抑えるなどの効果がある鎮痛薬を、また月経困難症治療薬(女性ホルモン薬=EP配合剤)で治療します。
薬の特性を知って安心の治療を
病気が原因となっている器質性の場合には、その治療を行う必要性やメリットも受け入れやすいでしょう。しかし、原因となる病気が見つからない場合、生理痛をなじみのない薬で治療することに、抵抗がある人もいるかもしれません。
しかしEP配合剤は、昔からよく使われてきた薬です。EP配合剤は、含有する黄体ホルモンの働きによって「子宮の収縮を抑制」、「子宮内膜を薄くし月経量を減らす」、「痛みを発生させる物質(プロスタグランジン)の生成を低下させる」、といった効果があります。
治療を最終的に選択するのは自分自身ですが、薬を処方されるときには、もちろん医師の判断が必要です。
たとえばEP配合剤は、肥満や喫煙者、40歳以上では血栓症のリスクが高まりますので、医師はこのようなことを考慮して、治療として適切かどうかを判定しています。EP配合剤の処方を提案されたときには、「自分にとってその治療が適切なのか?副作用はどうなのか?」ということを、医師にきちんと説明してもらい、自分が望む治療かどうかを判断することが大切です。
もちろん治療を始めたら、薬の服用方法や生活指導があればそちらを守って、しっかり自己管理しましょう。治療できるのですから、生理をあまりネガティブに捉えずに、日々の生活を楽しんでいきたいですね。
<取材協力>
バイエル薬品株式会社
<監修者プロフィール>
太田 郁子(おおた・いくこ)
倉敷平成病院婦人科医長、医学博士、日本子宮内膜症啓発会議実行委員
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通
スポンサーリンク