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不妊の原因にもなり得る「子宮内膜症」
子宮内膜症は、子宮内膜に似ている組織が子宮以外の場所で増殖してしまう疾患のことを言います。
通常、子宮の内側をおおっている子宮内膜は、妊娠に備えて増殖し、妊娠が成立しなければ剥がれ落ちて経血として排出されていきます。
しかし、子宮内膜が何らかの理由で子宮の外側で増殖すると剥がれ落ちた経血がスムーズに排出されなくなったり、ほかの組織と癒着してさまざまな痛みを引き起こしたりします。
子宮内膜症が不妊の原因になる理由は、卵管にできた内膜症の病変によって、受精の場である卵管が詰まってしまったり、卵巣にできた病変などによって、卵子の質が落ちることが原因とされています。
不妊症の患者のうち3割から6割に子宮内膜症が見つかっていることもあり、症状が重くなると妊娠が難しくなることもあるのです。
子宮内膜症を見逃さないためにできることとは?
子宮内膜症は早期発見が非常に難しいですが主に以下の症状が見られます。
□生理痛が前よりもひどくなっている
□これまで飲んでいた鎮痛薬が効かなくなってきた
□経血量が多くなり、これまでのナプキンでは間に合わなくなった
□排便痛・性交痛がある
以前より「生理痛は痛み止めを飲むと慣れてしまい薬が効かなくなる」という都市伝説がありました。
これは、「痛みどめの薬に慣れて効かなくなる」のではなく、痛み止めの薬は痛みを取ってくれますが、子宮内膜症の進行を抑えてくれないので、徐々にひどくなって、同じ薬が効かなくなるということです。
子宮内膜症の特徴は「進行性」、「慢性(つまり完治はしない)」、「癌化のリスクがある」、「不妊のリスクがある」ということを知っておきましょう。
生理痛は私たちの体の中の小さな異変を教えてくれるサインなのです。
痛みの他にも経血量や生理に異変を感じたり、上記のような症状がひとつでも見られたりする場合は、産婦人科を受診しましょう。
<監修者プロフィール>
太田 郁子(おおた・いくこ)
倉敷平成病院婦人科医長、医学博士、日本子宮内膜症啓発会議実行委員
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