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風邪にも種類がある
実は、原因となる微生物によって、風邪は大きく次の3つに分けられます。
1.ウィルス性
ライノウィルス、アデノウィルス、RSウィルス、インフルエンザウィルスなど
2.細菌性
A群β溶血性連鎖状球菌(溶連菌)、百日咳菌など
3.非定型病原体
肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィアなど
風邪のうち、80~90%はウィルス性の風邪で、原因となるウィルスは200種類以上ともいわれています。
そのため、基本的には風邪のウィルスは特定されていません。ただ、ウィルス性の風邪の中でもインフルエンザウィルスは、ほかのウィルスによる風邪と比べて症状が重く、重症化するケースもあります。
そのため、インフルエンザウィルスによる風邪は、その他のウィルスによる風邪(普通感冒)とは分けて治療を行います。
ここまで風邪についてご紹介してきましたが、実は風邪と似た症状を持つ病気があります。
風邪(普通感冒)であれば、安静にすることで回復していきますが、風邪ではない場合には、きちんと治療することが必要です。
そこで、次から風邪(普通感冒)と間違いやすい病気の一例をご紹介していきます。
風邪と間違いやすい病気
風邪(普通感冒)と似た症状を持つ病気の代表例を挙げていきましょう。
インフルエンザ
インフルエンザウィルスに感染することで発症する感染症で、毎年11月~3月頃に流行します。
感染した人のくしゃみやせきなどに含まれるウィルスが、口や鼻の粘膜に付着することで感染します(飛沫感染)。突然の発熱(38度以上)、頭痛、倦怠感、筋肉痛や関節痛、せき、鼻水などの症状が現れます。
また、とくに免疫力が低い小さな子どもや高齢者などの場合には、脳炎や肺炎を合併することがあります。
肺炎
細菌や病原微生物が肺に侵入し、炎症を起こす病気です。
風邪との違いの一つに、炎症が肺にまで到達しているという点が挙げられます。また、風邪を悪化させて肺炎になることも珍しくありません。
肺炎は基本的に治る病気です。
しかし、抵抗力がない子どもや高齢者、さらに、持病を持っている人が発症すると、死に至ることがあります。実際、肺炎は日本における死因の第3位になっています(厚生労働省『平成27年 人口動態統計月報年計(概数)の概況』より)。
初期には、急な発熱、全身の倦怠感、寒気といった風邪に似た症状が現れます。ただし、その後は、咳き込む、胸が痛む、脈や呼吸が速くなるといった症状が現れるという特徴があります。
肺結核
「結核菌」による感染症です。
肺結核は、結核菌に感染したからといって必ず発症する病気ではありません。通常、身体の免疫が働き、結核菌の増殖を抑えこむことができるからです。
免疫力が落ちて結核菌を抑えることができなくなると発症しますが、実際、発症する人は数パーセントともいわれています。肺結核と聞くと「死」をイメージする人がいるかもしれませんが、現在は薬物療法によってほとんど肺結核症を治すことができます。
初期にはっきりとした症状が現れるわけではなく、微熱、倦怠感、食欲不振といった風邪に似た症状が現れます。
肺結核の特徴としては、せきや痰が長期間続くことが挙げられます。そのため、これらの症状が2週間以上続く場合は受診するようにしましょう。
これらの病気は、風邪と間違われやすいですが、免疫力が落ちていると、悪化させる可能性があります。
また、肺結核のように自分では発症しなくても、周りの人にうつしてしまうこともあります。
ですから、ご自分で風邪だと思っていても、症状がいつもより長引く場合には、放っておかず、病院を受診するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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