(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
うつ病のセルフチェックは可能?
以上に挙げたDSM-5による診断基準に基づいて、自分独りでセルフチェックはできるのでしょうか?端的に言うと、2つの課題があるでしょう。
健康な時と比較することができるか?
うつ状態に陥っていない、健康な時の自分の状態をよく知っていれば、「普段と違う!」とうつ傾向を自覚することができるでしょう。
しかし、ふだんの自分を意識していなければ、違いが分かりません。
症状があまりはっきりしてなくても、気づけるか?
上に挙げたような症状がかなりはっきりと出ている時は、もうすでに、病状が進行していることが想定されます。
これでは、セルフチェックの予防的目的からすると遅きに失している感もあります。各症状がまだ出はじめの段階で、気がつけるかどうかがポイントですが、これも、簡単ではありません。
かなり早い段階で自分の症状が自覚できるかどうかです。
症状が自覚できても、うつ病かどうかは専門医に!
今や、抑うつ気分を症状に持つ病気は増えています。
ですから、仮に自分で抑うつ気分なり、うつに伴う諸症状を自覚できたとしても、それが、うつ病からきているのか、それとも、他の病気の二次的な症状なのかは、専門家の判断を仰がなくてはなりません。
自分で「うつ病の診断」をするのは、お止めになるよう強くお勧めします。
「自覚」より効果的な「他覚」
自分で自分の状態を知っていく「自覚」。
ある程度はそれも大事なことですが、家族や職場の同僚など、身近な周囲の人が、気がついて「普段と違うね!」といってくれるような関係――これを「他覚」といいます――
これを作っておく方が、予防や早期発見には効果的でしょう。
医師の判断や診断も「他覚」といえます。
【参考】
厚生労働省『平成26年(2014)患者調査の概況』(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/index.html)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
スポンサーリンク