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ペインクリニックで対象になる痛みとは
先ほどお話したように、ペインクリニックで対象になるのは、鎮痛薬で痛みが取れない場合や、原因となる病気の治癒後も痛みが残る場合です。
ここでは、もう少し具体的に対象となる痛みを挙げてみましょう。
原因となる病気を根治させることが難しいもの
例)がんによる痛み、膠原病(こうげんびょう)による血管炎、末しょう循環障害の痛み
痛みの治療が、原因となる病気の治療につながるもの
例)三叉神経痛、脊椎の疾患、頭痛など
原因となる病気の治癒後、痛みだけが残っているもの
例)帯状疱疹後の神経痛、手術や外傷、骨折後に残る痛み
一方、胃潰瘍、胆石、尿管結石など、治療や手術によって取り除くことができる痛みは基本的には対象になりません。
ペインクリニックで行われる診察・治療
ペインクリニックの診察では、既往歴、家族歴、アレルギー歴などの一般的な問診に加えて、痛みに関する問診を行います。
痛みの部位や痛みが始まった時期、きっかけ、痛みの強さや状態、痛み以外の症状などが聞かれます。
具体的な痛みの強さを知るために、専用の質問票が使われることもあります。
問診以外では、視診、触診、打診(打診器などでたたく)、神経や皮膚の状態の確認、血液検査や画像診断などが行われます。
また、治療には次のような方法があります。
薬物療法
一般的な鎮痛剤として用いられるNSAIDs(エヌセッズ;非ステロイド抗炎症薬)や、麻酔性の鎮痛剤(オピオイド)のほか、鎮痛補助剤としてステロイド、抗うつ薬、抗不安薬、抗けいれん薬、抗不整脈薬などが使われることがあります。
鎮痛補助剤とは、本来は痛みをとることを目的とした薬ではないものの、単独あるいは鎮痛剤との組み合わせで鎮痛効果を増強させることができる薬のことです。
神経ブロック療法
神経ブロック療法は、神経にブロック針と呼ばれる針を刺して薬を注入し、神経の伝達機能を一時的あるいは永久的(半永久的)に遮断する方法です。
この方法では、長期間にわたって症状の改善が期待できます。
上記のほかにも、痛みは精神面にも影響を与えることから「認知行動療法(物事のとらえ方やそれに伴う行動を変える方法)」や電気けいれん療法、鍼治療など、さまざまな治療法の中から、患者さんに合った方法で治療が行われます。
長い間痛みに悩んでいる方の中には、「いつものこと」「どうせ治らない」などと、あきらめてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、最初にお話ししたように痛みの症状と生活の質は密接に関係しているものです。
ツライ痛みに悩まされている方は、一度ペインクリニックを受診してみることをおすすめします。
日本ペインクリニック学会のホームページでは、ペインクリニックの専門医がいる医療機関が掲載されていますので、参考にしてみてくださいね。
日本ペインクリニック学会「学会専門医一覧」(https://www.jspc.gr.jp/member/prefectureselect.php?select_type=authorized)
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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