(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
昔から「寝酒」「ナイト・キャップ」などのコトバがあります。
世界中で入眠のためにお酒を飲む風習があるということですね。
近頃では睡眠障害がよく話題に上ります。とくに、日本人は睡眠の改善のために睡眠薬やサプリメントより、アルコール飲料を活用している比率が高いといわれます。
今ではNGともいわれるこの方法ですが、それでもメリットはあるのでしょうか。
ご一緒に詳しく見ていきましょう。
お酒と酔い:眠りを誘う効果について
アルコールにはリラックス効果や血行を促す効果もあります。
同時に、高くなった体温が比較的急激に下がるため、寝つきをよくする効果として奨励されるものです。
このあたりが、「寝酒」「ナイト・キャップ」などお酒が安眠を促進するとされた理由かと思われます。
しかし、適量や時間などを間違えると、睡眠の質を落とし、かえって眠りを浅くしてしまう逆効果ともなります。
飲酒量の問題
飲酒をすると、アルコールが胃腸で吸収されて、血液に溶け込み、脳に運ばれてマヒが起こります。これが「酔い」という現象です。マヒの度合いは「飲んだ量」、つまり、血液中のアルコール濃度によります。アルコールの代謝能力には個人差がありますが、「適量」以上になると、体調や睡眠にとってはよくないことが検証されています。
飲酒時間の問題
アルコールが体内に吸収され、分解されるまでにかかる時間は、およそ3時間といわれています。
アルコールが分解されて「アセトアルデヒト」に変化し、排出されるのにかかる時間です。アセトアルデヒトは交感神経を刺激するので、安眠を妨げてしまいます。
ですから、就寝前にはアルコールがしっかりと分解されていないと安眠できません。
耐性や依存性の問題
多量のアルコールを毎日飲み続けていると、催眠効果は次第に弱まり、アルコール耐性ができてしまいます。
結果、量を増やさないと睡眠時間が短くなるという悪循環に陥ります。
最悪、アルコール中毒になってしまうリスクを抱えることになります。
スポンサーリンク