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執筆:藤尾 薫子(助産師・保健師)
医療監修:株式会社とらうべ
電車の発車時間が迫っているとか、約束の時間に間に合わないかもしれないなど、急に走らなければならないような時がありませんか?
子どものころと比べると、そんな機会は減ったかもしれませんが、急に走ると横っ腹が痛くなることがあります。
どうしてこのようなことが起こるのでしょう?
ご一緒に詳しく見ていきましょう。
サイドステッチ(運動時側腹筋痛)
急に走りだすと横っ腹が痛くなる現象を、運動時側腹筋痛(side stitch)といいます。
強い運動中に生じる左右上腹部の疝痛(せんつう:差し込むような痛み)を指しています。
詳しい機序や原因はまだ明らかになっていないようですが、急な運動時の腹痛については、「左側」なのか「右側」なのかによって症状や原因が異なるといわれています。
<左わき腹の場合>
左上腹部には「脾臓(ひぞう)」があります。
これは、免疫や造血、血液の貯蔵などを担っている臓器で、ソラマメのような形をしています。左横腹痛には、その脾臓が関係しているといわれます。
激しい運動をすると筋肉が大量の酸素を必要とし、そのさい、脾臓から貯蔵している血液が送られ、急に必要になることで負担がかかった結果、脾臓が急激に収縮し、一時的に腫れを生じるため、痛みが起きるというわけです。
また、左の横っ腹あたりは大腸が大きく曲がっているところでもあり、この影響でガスや便が溜まりやすく、食べてすぐ走ったりすると、負担がかかって痛みを生じるともいわれます。
<右わき腹の場合>
右わき腹には肝臓、胆のう、横隔膜の一部などがあります。
ランニングなどによって肝臓など重い臓器が揺れることで、横隔膜が引っ張られて、痛みが生じるといわれています。
ちなみに、上腹部や下腹部のサイドステッチにも固有の原因が指摘されています。
上腹部の場合は、ランニング等により胃が大きく揺れたり、血液循環が悪くなって生じる「上腹部中央痛」。
また、下腹部の場合は、便秘や下痢などの影響で大腸が痛む「下腹部痛」などです。
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