晩婚化が進む日本、不妊治療はどこまで進んでいるの?

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晩婚化が進む日本、不妊治療はどこまで進んでいるの?

公開日時

晩婚化と不妊

 
女性側の不妊の原因として、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が原因になることがあります。
 
しかし、このような病気がなかったとしても、不妊に悩むカップルは大勢います。
 
そんな中、最近とくに注目されているのが、加齢による妊孕性(にんようせい;妊娠のしやすさ)の低下です。妊娠に一番適した年齢は20代といわれています。
 
30歳をすぎると徐々に自然に妊娠する確率は低下し、35歳を過ぎるとその確率は急激に落ちるとされています。
 
ところが、現在の日本では、女性の社会進出などの背景もあり、晩婚化が進んでいます。これにともなって、初産年齢も上がっています。
 
2015年の平均出生時年齢(第1子)は、30.7歳であり、第1子の時点で、妊娠に最も適した20代を過ぎている人が多くいることがわかります(※)。
 
(※厚生労働省『平成 27年人口動態統計月報年計(概数)の概況 』 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai15/dl/gaikyou27.pdf)
 
日本生殖医学会によると、女性の妊孕性は37~44歳の間に失われます。
 
一度失われた妊孕性を医学のチカラで取り戻すことは簡単ではなく、完全に妊孕性が失われる前に治療をすることが必要になります。
 
それでは、現在の不妊治療では、どのようなことが行われているのでしょうか?

 
 

不妊治療の方法

 
「子どもができない」という悩みで病院を受診すると、まずは問診や内診、経膣超音波検査、血液検査、子宮卵管造影検査などさまざまな検査が行われ、不妊の原因を調べます。
 
これらの検査で原因が分かった場合は、それぞれの原因に合わせた治療が行われます。
 
また、検査で原因が分からなかった場合でも、排卵や受精をサポートする次のような治療に取り組みながら、妊娠の成立を目指します。
 
 

タイミング法

 
排卵日の2日前に性交することで、妊娠の確率が高くなるといわれています。
 
そこで、タイミング法では、排卵日を調べて性交のタイミングを合わせます。
 
具体的には、排卵日前に経膣超音波検査を行い、卵巣内の卵胞(卵子が入っている袋)の大きさを調べたり、尿中に含まれるLH(黄体形成ホルモン;排卵前に量が増える)の量を確認しながら、排卵日を予想します。
 
 

排卵誘発法

 
薬や注射によって排卵を促す方法です。排卵機能に問題がある場合(排卵障害)のほか、人工授精や体外受精の成功率を高めるために用いられます。
 
薬によって違いはありますが、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(卵巣がはれて水がたまる)などの副作用が現れることがあります。
 
 

人工授精

 
男性の精子を採取して(採精)、洗浄し、妊娠の可能性が高い成熟した精子を細いチューブを用いて、女性の子宮内に注入する方法です。
 
 

生殖補助医療(体外受精など)

 
生殖補助医療(ART)とは、「近年進歩した新たな不妊治療法」のことをいいます(「日本生殖医学会」より)。体外受精は、女性の卵巣から卵子を取り出し(採卵)、採精した精子と体外で受精させ、数日後に子宮内に戻す(胚移植)方法です。
 
このほか、生殖補助医療には、採精した1匹の精子を採卵した卵子に直接注入する「顕微授精」や、体外で受精した胚(はい;受精卵)を凍結させて、その後溶かして移植する「凍結胚・融解移植」といった方法もあります。
 
不妊の原因がわからないときには、「タイミング法(排卵誘発法) ⇒ 人工授精 ⇒ 生殖補助医療」という順番に行われることが一般的です。
 
また、費用については、タイミング法までは保険適用内ですが、人工授精以降は自費となります。
 
 

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