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すい臓がんの治療 法を知っていますか?
コラムニストで評論家の井尻千男さんが6月3日、すい臓がんのため亡くなられました。井尻さんは手術を終えた後も、衛星放送局「日本文化チャンネル桜」に出演し、復帰に向けたメッセージなどを残しています。
8月18日の放送では、がんは体の外から来る外敵ではなく、自己崩壊という形をとる病気であると、病院のベッドの上で考えをめぐらせたエピソードを語っています。病気を感じさせない元気な姿は、実際に復帰を期待させるものでした。
今年に入り、3月16日に放送された講演会の様子を見ると、少し痩せてはいるものの独特の語り口は健在でした。そして、今回の訃報です。現場復帰に向けて意欲的だったのになぜ? 治療は成功しなかったのか?と思われるかもしれませんが、すい臓がんの性質を考慮すると、少し見方が変わってくるかもしれません。
すい臓がんの治療 :低い生存率
すい臓がんに対して、治癒を見込める治療は外科手術のみです。しかし、早期発見は難しく、すでに進行してから治療を始める場合がほとんどで、外科手術を行えるのは20~40%にとどまります。手術できた場合でも、5年生存率は非常に低く、10~15%とされています。発見が難しく治療も困難なすい臓がんは「がんの王様」とよばれ、5年生存率はすべてのがんの平均を下回ります。
現在のがん治療は集学的治療といって、手術を行う外科、薬剤による化学療法を行う内科、放射線治療を行う放射線科の連携によって治療を進める流れになっています。とりわけ手術単独での治療成績が悪い膵臓がんにおいては、集学的治療が非常に重要になります。
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