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執筆:井上 愛子(保健師・助産師)
監修:太田 郁子(医学博士)
「下腹部が張って鈍痛がある」「精神的にイライラして、つい周りにあたってしまい落ち込む」「なぜか涙がとまらない」、「やることが山積みなのにやる気が出ない」、「全身に疲れが出たようになる」などなど、多くの女性が月経前~月経中に、心身の不調を抱えています。
本当はつらいのに「いつもこうだから仕方がない」と思って何とかやり過ごしている人も多いことでしょう。
でも最近では、生理前後の不快な症状は、原因も解明されつつあり、それぞれにあった治療法があります。「ガマンするのが当たり前」ではない時代がきているのです。
ご紹介しましょう。
PMS・PMDDとは?
私たちは、生理にまつわる不快症状は総じて「生理痛」と呼んでいますよね。しかし医学的には、生理前と生理中では区別されており、とくに月経の始まる3~10日前頃から現れ、月経開始とともに軽減、消失するものをPMS(Pre Menstrual Syndrome/月経前症候群)といいます。
PMSの主な症状
(1)お腹に膨満感がある
(2)胸が張っているような感じがある
(3)腰に重みや痛みを感じる
(4)頭痛、頭が重い感じがする
(5)むくみがある
(6)とても眠くなる
(7)急にのぼせたり冷えたりする
(8)イライラする・怒りっぽくなる、など精神的に不安定
(9)無気力で抑うつ的な気分になる
(10)朝起きられない、夜眠れない
(11)細かい作業など、何かに集中できない
また、PMSの症状のなかでも、特に心の不調が強く現れ、日常生活に支障があるものをPMDD(Pre Menstrual Dysphoric Disorder/月経前不快気分障害)といいます。
国際的には、2013年にアメリカの精神医学会が、PMDDをうつ病の一種として診断基準を定めました。症状としては下記のような「月経前にだけ起こるうつ症状」であり、月経が始まってから数日後には消失し、普段と変わらない状態に戻る、というのが特徴です。
PMDDの主な症状
(1)不安、あるいは緊張が高まる、苛立っている、などという感情を覚える
(2)小さなことにもイライラして、すぐ腹が立ち人間関係のトラブルがよく起こる
(3)情緒不安定で、突然号泣したり、悲しくなって涙が出たりする。
(4)激しいうつ状態や絶望感、自分を卑下する気持ちなどを覚える
(5)仕事・勉強などするべきことがあっても集中することが困難である
(6)自分で自分の感情を制御することが難しい
(7)日常での家事や、趣味、友人などに対して興味がなくなる
(8)激しい倦怠感を覚えたり、すぐ疲れたりして、気力が減退する
(9)過睡眠だったり不眠に陥ったりする
(10)過食になったり特定の食べ物を食べ続けたりする
※PMSやPMDDは、人によって症状の幅が広いため、上記だけで判断できるものではなく、医師による診断が必要です。
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