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執筆:影向 美樹(歯科医師)
歯科治療に伴う痛みは歯医者さんが嫌われる大きな要因の1つです。
また、いかに素晴らしい治療であっても、痛みが伴えば患者様からの信頼はなかなか得られないため、歯科医師にとっても治療中の痛みは悩みの種なのです。
そのため、近年では治療に際して痛みを最小限に抑える「無痛治療」に取り組む歯科医院も多くなってきました。
今回は実際に歯科医院で行われている無痛治療にはどのようなものがあるのか、詳しくご紹介していきたいと思います。
歯科麻酔に関する無痛治療
歯科治療時の痛みについて訴えが最も多いのが、麻酔の痛みです。
本来、麻酔は治療中の痛みを抑える目的で使用されているのですが、その麻酔自体が痛みの原因になるのは術者にとっても悩ましいところです。
ただ、近年では歯科機器や器具の発展によって、麻酔時の痛みもかなり軽減できるようになりました。また術者である歯科医も、麻酔時の痛みを少しでも和らげるように様々な工夫を行っています。
麻酔注射を刺す際の痛みを和らげる
注射針を刺す時の痛みは、麻酔部位の歯ぐきにあらかじめ表面麻酔を行うことで軽減できます。表面麻酔にはジェルタイプやスプレータイプがあるほか、近年では歯科用レーザーの麻酔効果を利用した表面麻酔法などがあります。
また注射針が太いことも、刺す際の痛みの原因です。
以前は太さが0.3~0.4mmの注射針が多かったですが、近年では0.26mmと極細の注射針が使用され、麻酔時の痛みがかなり軽減されています。
麻酔薬を注入する際の痛みを和らげる
注射針を刺した後、次に麻酔薬を歯ぐきの中へ注入する際に痛みを感じやすくなります。
この痛みをなくすためには、麻酔薬の温度と注入するスピードが肝心です。
まず麻酔薬の温度ですが、麻酔薬は冷たいまま注入すると痛みを感じます。そのため無痛治療を行う歯科医院では、必ず術前に麻酔薬を痛みのでない適切な温度まで温めて使用します。
次に麻酔薬は歯ぐきの中にゆっくりと注入していくと痛くありません。その分麻酔の時間はかかりますが、歯科医師の多くはこのスピードに注意しながらゆっくり麻酔を行っています。
また近年では、痛みのでない注入スピードをコントロールできる電動麻酔器を使用している歯科医院も多くあります。
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