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執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
加齢による「加齢黄班変性(かれいおうはんへんせい)」は、早い人になると40歳代から発病します。欧米では成人失明原因の第1位で、珍しくない病気です。
日本ではあまりなじみがなく、患者も少ないと考えられていました。しかし、人口の高齢化と生活の欧米化により、近年は著しく増加の傾向にあり、目下のところ失明原因の第4位です。
加齢黄班変性による失明は「社会的失明」と言われて、網膜中心の視力障害をおこすものの、全く光を感じないという状態ではありません。
今回は、その加齢黄班変性についてご紹介たいと思います。
真中だけが歪んで見える
網膜には「黄班」という、ものを見るために大事な部分があります。大きさ、色、立体性距離など、光情報の大半をここで識別しています。黄班に異常をきたすと、ものの見え方に支障がでます。
加齢黄班変性は、網膜に新しい血液を送っている脈絡膜から脈略膜新生血管が伸びてくることが原因で発生します。この血管があるかないかで2つのタイプに分かれます。
「萎縮型」と「浸出型」と呼ばれ、浸出型が多いのが日本人の傾向です。
浸出型は、網膜色素上皮の細胞内に溜まった老廃物を吸収しようとして、脈略膜新生血管が伸びてきてしまいます。
そして脈略膜新生血管が破れて出血したり、血液の成分が漏れ出したりして組織内に溜まると、網膜を押し上げます。このような状態が浸出型です。
治療せずに放置しておくと、視力の低下、見え方の異常が急速に進むこともあります。
医学的には、失明は光を全く感じない状態をいいますが、「社会的失明」は、矯正視力0.1以下の状態です。
加齢黄班変性では、光は感じますが、日常生活の不便さや自立の程度から判断して、全盲とは分けて「社会的失明」と呼ばれています。
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